この記事では、「引導を渡す」の意味を分かりやすく説明していきます。
「引導を渡す」とは?意味
「引導を渡す」の読みは、「いんどうをわたす」で、その意味は「諦めるように、最終的な通告や宣告を行うこと」です。
「引導を渡す」の概要
この「引導を渡す」という慣用句は、仏教の葬儀における仕来りから来た言葉です。
葬儀の際には、僧侶が棺の前で死者が迷うことなく悟りを開けるように、すなわち自分が死んでしまった事を理解させるために、法語を唱えますが、この行為が「引導を渡す」の意味なのです。
余談ですが、日本仏教の多くの宗派で、現在もこの「引導を渡す」作法が続けられています。
しかし、浄土真宗においては、こうした行為は行われません。
これは浄土真宗では、念仏さえ唱えれば、誰もが迷うことなく死後には極楽浄土に行けると言う教義によるものです。
「引導を渡す」という慣用句は、一般的には本人にとっては良くない事の最終宣告を行う事を指す意味で使われています。
しかし、元々の語源には、むしろ本人が成仏できる様にと言う意味から来ており、必ずしも悪いイメージのある言葉ではなかったとも言えます。
また蛇足ですが、「引導を渡す」の「引導」を「印籠」と勘違いしている方も少なくないようです。
この「印籠」は江戸時代に、薬などを携帯するために腰に下げて使われていた入れ物の事で、「水戸黄門」のドラマで、三つ葉葵の印が描かれた印籠を掲げて、周囲の人をひれ伏させるのに使われていたものが、それです。
誤解して覚えておられた方は、語源を知る事で、それを比喩的に使った「引導を渡す」の間違った使い方を、なくす事が出来ると思います。
「引導を渡す」の言葉の使い方や使われ方
「引導を渡す」は『あのプロ野球選手は、今期は全く活躍できておらず、シーズン終了後に、球団が引導を渡す可能性が濃厚です。』や『経営不振から、我が社ではリストラが進められており、人事部長が次々と対象者に引導を渡しています。』のように使われます。
また、元々の仏教の葬儀での行為に対して「引導を渡す」という言葉は、現在も使われており、『祖父の葬儀において、僧侶が引導を渡しました。』の様に表現する事も、もちろんあります。
「引導を渡す」の類語や言い換え
「引導を渡す」の類語や言い換えとしては、『最終宣告をする』や『お祓い箱(お払い箱)にする』などが挙げられます。
まとめ
「引導を渡す」と言う言葉は、日本仏教の多くの宗派が、葬儀の際に、僧侶が棺の前で死者が迷うことなく悟りを開けるように、すなわち自分が死んでしまった事を理解させるために、法語を唱える事を指す言葉です。
現在も浄土真宗以外の宗派では、続けられている葬儀での作法です。
この行為から転じて、「引導を渡す」は、「諦めるように、最終的な通告や宣告を行うこと」を意味する言葉となったのです。
言葉の由来を知る事で、「引導」を「印籠」と響きの似た言葉と誤解されていた人も、正しい言葉や意味や使い方を把握できたことでしょう。