何かを受け継ぐ人を指す言葉として「後継者」と「継承者」があります。
どちらも同じような意味で使われることが多いですが具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「後継者」と「継承者」の違いを解説します。
「後継者」とは?
「後継者」とは「前任者から技術や役割、財産などを引き継ぐ人」を指す言葉です。
「後継者」には「後を継ぐ」という意味があります。
他の人が果たしていた役割や立場、有していた技術や気付いた財産などをその人との合意の上で引き継いで自分のものにした人をさして「後継者」と表現します。
「後継者」には「後継ぎ」という意味もあります。
すでに前任者に変わった人だけではなくこれから受け継ぐ予定の人も「後継者」です。
現当主が自分の子どもを後継ぎに予定している場合はその子どもが「後継者」となります。
「後継者」が引き継ぐものはさまざまです。
武術家や職人であれば技や理論などを引き継ぎます。
会社や団体なら組織そのものや有する財団が引き継ぐ対象です。
「後継者」の使い方
・伝統の地唄舞に後継者が見つかった。
・流派の後継者争いが活発になる。
・社長の息子を会社の後継者にする提案に株主から反対の声が上がった。
・職人の世界では後継者不足が深刻化している。
「継承者」とは?
「継承者」とは「技術や思想、肩書や財産などを受け継ぐ人」を指す言葉です。
「継承者」の「継承」には「引き継ぐ、受け継ぐ」という意味があります。
誰かの持っているものを自分のものとするのが継承の意味するものであり、「継承者」とは誰かから何かを継承した人あるいはする予定の人を意味します。
「継承者」の使い方
・古流空手の継承者と対戦する。
・伝統舞踊の継承者として踊りを披露する。
・流派の継承者が全国各地で活躍している。
・著作権の継承者に問い合わせた。
「後継者」と「継承者」の違い
「後継者」と「継承者」の違いは「人数」です。
「後継者」には前任者と代替わりするという意味が含まれています。
前任者が一線を退いたあとは「後継者」がそれまで前任者のものであった立場や肩書に取って代わります。
前任者と交代する形で受け継ぐことになるので「後継者」の人数は通常ひとりですが、前任者が集団であった場合は人数の異なるグループが後を継ぐこともあります。
「継承者」は必ずしもひとりとは限りません。
技術や知識などを伝えるケースでは「継承者」が複数になることもよくあります。
師の教えを引き継ぐ人は皆継承者にあたるので武術の流派や学問の学派などは継承者が複数いて当然です。
「後継者」は「継承者」のうち「後継ぎ」という要素を含むものを特に指す言葉です。
「後継者」は「継承者」の一種であり「継承者」でない「後継者」はありえません。
まとめ
「後継者」と「継承者」は意味合いが非常に近しく全く同じ意味で使われることもありますが厳密には意味が異なる別の言葉です。
状況によって「後継者」と「継承者」のどちらがふさわしいのかは変わります。
正確な意味を理解して使い分けてください。