この記事では、「思う壺」と「ドツボ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「思う壷」とは?
「思う壷」【おもうつぼ】とは、意図したとおり、自分の狙いどおりに事がはこぶことです。
「思う壷」という言葉は、ばくちでサイコロを振る時に使う壷が由来で誕生しました。
江戸時代から使われている古い俗語のひとつです。
ばくちでサイコロを振る時は、茶碗ぐらいの大きさの壷(壷皿)にサイコロを入れ、盆布の上に壷を伏せて出た目で判定をしていました。
サイコロを振る「壷振り師」は熟練すると、壷を振る時に自分の思い通りの目を出すことができます。
そして「思い通りに目が出せる壷」が「思う壷」という言葉に派生していったのです。
一般には、たくらみや計画によって物事が思い通りに進む様子時に用います。
よく使われるのは「思う壷にはまる」という言い回しで、これは相手の術中にまんまとはまる様子を指します。
都合のいいように相手を振り回す、または逆に相手に降り回される場合を指すことが多く、あまり良い意味では使われていません。
「思う壷」の例文
・『セールにつられて買い過ぎた、結局お店の思う壷になってしまった』
・『まんまと敵の思う壷にはまる』
・『今反撃に出るなんて相手の思う壷だ』
「ドツボ」とは?
「ドツボ」は「ドツボにはまる」という使い方で最低の状態に陥ることを表す俗語です。
「ドツボ」は「ど壷」「土壷」とも書き、肥だめ(肥料にするための糞尿をためておく大きな穴や壷)が語源となっています。
肥だめは「野壷」や「土壷」と呼ばれ、農家には欠かせない設備でしたが、人が落ちてはまると大変です。
そこで、肥だめに落ちるくらい悲惨な経験が「ドツボにはまる」と例えられるようになりました。
一般には、最悪の状況や不幸な境遇に陥ること、あるいは精神的にどん底になるまで落ち込む状態を指します。
「ドツボ」は「はまる」とセットで使いますが、日常会話なら「ドツボ」だけでも意味が通じことがあります。
「ドツボ」の例文
・『失敗続きで事業がドツボにはまる』
・『返済できないくらい借金がかさみドツボにはまる』
・『ショックなことが続いてドツボにはまり、抜け出せなくなる』
「思う壺」と「ドツボ」の違い
「思う壺」と「ドツボ」の違いを、分かりやすく解説します。
「思う壷」と「ドツボ」の共通するところは「~に、はまる」という言い方で使われるところ、良い意味を持たないところです。
ただし、両者が持つ意味と使われ方は全く異なります。
「思う壷」は、狙い通りに物事が運ぶこと、都合のいいように相手を振り回すことを指しますが「ドツボ」は最悪の状況に陥ることの例えに使われます。
まとめ
「思う壷」や「ドツボ」は、どちらも壷に由来して生まれた言葉です。
昔ながらの俗語ですが、日常生活ではしばしば目にする機会があるので、両者の意味と違いを正しく理解しておくとよいでしょう。