この記事では、「惨状」と「窮状」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「惨状」と「窮状」の違い
「惨状(さんじょう)」は、「むごたらしさ・痛々しさがあってまともに見ていられない状態」のことを示唆しています。
「惨状」と比べて「窮状(きゅうじょう)」というのは、「お金あるいは物資が不足して、追い詰められて困っている状態」を意味している違いがあります。
「惨状」とは、「戦争・事件事故・自然災害などによる被害によって生じる悲惨でむごい状態」なのです。
「窮状」は「惨状」とは違い、「お金・物品の悩みで追い詰められて苦しみ困っているさま」を意味しているのです。
「惨状」と「窮状」の使い方の違い
「惨状」は「事故現場の惨状」のように、「視覚的・心理的に目を背けたくなる残酷で痛々しい状態」を意味して使います。
「惨状」は「惨めで痛々しいさま」の意味でも使われます。
一方、「窮状」の言葉は「食事もままならない窮状に陥る」のように、「経済的に追い詰められてひどく困っている状態」を示唆して使う点に違いがあります。
「惨状」は「お金・モノで困っている状況かどうか」ではなく、「むごたらしさ・痛々しさがある状況かどうか」で使うところが、「窮状」との使い方の違いになります。
「惨状」と「窮状」の英語表記の違い
「惨状」は、英語を使用して表現すると以下になります。
“misery”……みじめな・悲惨な。
惨状。
“a terrible sight ”……ひどくてむごい状態をさらしている光景・外見。
惨状。
“a horrible spectacle”……恐ろしく感じるような外観・見た目。
惨状。
“pitiable state”……哀れむべきみじめな状態。
惨状。
「窮状」は、英語を使って表記すると以下になります。
“distress”……経済的に追い詰められていて苦痛がある状態。
窮状。
“plight”……苦境に陥っているさま。
前に“miserable”などの形容詞をつけて「~の状態」を意味する英語です。
“difficulty”……簡単には解決できない困難な状態。
物質的・経済的な苦難。
窮状。
「惨状」の意味
「惨状(さんじょう)」とは、「見るのがつらくなるような、むごたらしい状態」を意味しています。
「惨状」は、「事件・事故・災害・戦乱などで発生することのある、痛々しくてむごいありさま」を示唆しています。
「惨状」の表現には、「見るに堪えないような、みじめで情けない状態」の意味合いもあります。
「惨状」というのは、「残酷な状態+悲惨な状態」の二つの意味を持っているのです。
「惨状」の使い方
「惨状」の使い方は、「痛々しくてひどいありさま・悲惨で情けない状態」を意味して使うというものです。
例えば、「大地震が起こった地域は、平時からは想像できないレベルの惨状を呈していました」などの文章で使うことができます。
「惨状」を使った例文
・『日航ジャンボ機墜落事故では、機体が大きく破損して大勢の乗客が無くなる惨状になりました。』
・『児童虐待や夫婦喧嘩が当たり前になっている崩壊家庭の惨状は、経験した人にしか分かりません。』
・『連続殺人の現場のあまりにひどい惨状に、報道規制がかかることになりました。』
・『その大火事の影響で、商店街一帯が焼け野原になるような惨状を呈していました。』
・『何の罪もない市民や子供の命が簡単に奪われる戦争の惨状を見て、私は精神的なショックを受けました。』
「惨状」の類語
「惨状」の類語には、以下の言葉があります。
・『凄惨(せいさん)』……直接見るのがはばかられるほど、むごたらしくて痛ましいさま。
・『修羅場(しゅらば)』……痛々しさや残酷さを感じるほどの激しい争い・戦いが行われる場所。
・『悲惨(ひさん)』……見たり聞いたりすることに耐えられないほど、悲しくて痛々しいさま。
「惨状」の対義語
「惨状」は「直視しづらいむごたらしい状況・みじめな様子」を意味している言葉であるため、国語辞典などで挙げられている「惨状」の対義語はありません。
「窮状」の意味
「窮状(きゅうじょう)」とは、「経済的に追い詰められている困った状況」を意味しています。
「窮状」というのは、「金銭や物資が足りないことが原因になり、困ったり苦しんだりすること」を意味する言葉なのです。
「窮状」の表現は、「金銭的・物質的な欠乏によって、困った状況に追い込まれること」を示唆しています。
「窮状」の使い方
「窮状」の使い方は、「経済的に追い詰められている苦しい状態」を意味して使うというものです。
「窮状」の典型的な使い方として、「金銭面で困っている現状を訴える」を意味する「窮状を訴える」があります。
「経済的に困窮した状況の人を助ける」の意味合いで、「窮状を救う」といった使い方もできます。
「窮状」を使った例文
・『開発途上国の子供たちの窮状を伝える番組を見て、少しでも寄付をしなければいけない気持ちになりました。』
・『先進国でも経済格差が拡大傾向にあるため、窮状に陥る母子家庭や低所得世帯が増えています。』
・『日本では個人が経済的な窮状を訴えても、政府や他人が助けてくれるケースは少ないのです。』
・『シングルマザーの窮状を救うために、社会や私たちに何ができるのかを考えさせられます。』
・『窮状に追い込まれる人の中には自業自得な人もいますが、多くは突然の解雇や給与の減少が関係しています。』
「窮状」の類語
「窮状」の類語には、以下の言葉があります。
・『困窮(こんきゅう)』……貧困の要因によって暮らしが非常に苦しいこと。
これ以上ないほどに困ること。
・『逼迫(ひっぱく)』……経済的に追い込まれて、どうしようもならない困った状況になること。
差し迫っていて余裕がないさま。
・『貧苦(ひんく)』……お金がない貧しさ、あるいは食べ物がない飢えによって苦しんでいるさま。
「窮状」の対義語
「窮状」は「経済面で困窮している状態」を示す言葉で反対の意味を想定しづらいため、国語辞典などに記されている「窮状」の対義語はありません。
まとめ
「惨状」と「窮状」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「惨状」と「窮状」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい場合は、この記事の解説をチェックしてみてください。