「抜き差しならない」と言う慣用句は、よく使われていますが、この記事では改めて、意味などを分かりやすく説明していきます。
「抜き差しならない」とは?意味
「抜き差しならない」とは「動きがとれない状況やのっぴきならない状況」を意味する慣用句です。
この慣用句の意味は、多くの方がご存知でしょうが、次項でその由来を含めて、改めて詳細に説明します。
「抜き差しならない」の概要
「抜き差しならない」の語源は、江戸時代の刀文化にあります。
. 「抜き差しならない」の慣用句の. 「抜く」. は「刀を鞘から抜く」ことを指し、「差す」は「刀を鞘に戻す」ことを指す言葉です。
従って、文字通りの意味としては「刀を鞘から抜くことも、鞘に差し込んで戻すことも出来ない」と言う意味になります。
武士が一対一で戦う場合、刀を抜いて切り合い、勝利した方が、刀をすばやく鞘に差し戻すと言う動作を行います。
しかし、相手が大勢の場合には、いく力量があっても、刀を抜いて立ち向かう事は出来ず、立ち尽くしてしまったりします。
また仮に刀を抜いたとしても、立ち向かう事も出来ませんし、かと言って刀を鞘に差し戻す事も出来ません。
こうした状況が「抜き差しならない」状況なのです。
また相手と戦おうとしたときに、長く手入れをしていなかったために、刀が錆びていて、物理的に「抜き差しならない」状況も起こります。
これが文字通りの意味での「抜き差しならない」状況で、それはまさに武士にとっては「動きがとれない状況やのっぴきならない状況」である事から、この意味を指す慣用句に転じたのです。
「抜き差しならない」の言葉の使い方や使われ方
「抜き差しならない」の慣用句は、以下の例の様に使われます。
・『彼は退職理由を、抜き差しならない事情で、家業を継ぐ必要があるからとしています。しかし、実際は給与条件が良い同業他社に転職したのです』
・『最近は何でもスマホに頼りきりで、万が一バッテリーの充電が切れて使えなくなると、本当に抜き差しならない事態に陥る事も考えられます』
・『彼と彼女は、最初は遊びのつもりで付き合っていたけれど、いつしか抜き差しならない関係になってしまい、結婚することになりました。しかし、そんな状況になったから結婚と言うのでは、先が心配です』
・『小さな飲食店を開業するタイミングで、コロナ禍となってしまい、まさに抜き差しならない状況に陥ってしまいました』
「抜き差しならない」の類語や言い換え
「抜き差しならない」の類語や言い換えとしては、「逃げ場がない」や「にっちもさっちもいかない」や「膠着状態」などが挙げられます。
まとめ
「抜き差しならない」の文字通りの意味は「武士が刀を抜いて戦う事も出来ない状況や、刀を抜いても戦うことも刀を鞘に差し戻す事も出来ない状況」を指します。
これは武士にとっては「動きがとれない状況や、のっぴきならない状況」である事から、この意味を指す慣用句に転じたものです。