この記事では、「斉唱」と「唱和」の違いを分かりやすく説明していきます。
「斉唱」とは?
「斉唱(せいしょう」とは、西洋音楽で用いられる用語で、複数の人が同じ旋律を歌うことを指す言葉です。
伴奏の有無には関係なく、「斉唱」と言います。
『全員で校歌を斉唱します。』のように使用されます。
「唱和」とは?
「唱和」とは、文字通り一人がまず唱えてから続いて他の多くの人たちが同じ言葉を唱えることを指します。
例えば『万歳を唱和ください。』と言った様に使われます。
また、一方の作った詩歌に答えて他方が詩歌を作ることも唱和と言う言葉を使います。
これは昔の連歌に関係する使用方法で、近年ではこうした使い方はほとんど聞く事がありません。
「斉唱」と「唱和」の違い
「斉唱」は複数の人が同じ旋律を歌う西洋音楽の用語であるのに対して、「唱和」は一人がまず唱えてから、続いて他の多くの人たちが同じ言葉を唱えることを指すものであり、違う意味の言葉です。
しかし、大相撲の千秋楽に国歌を歌う際に、司会者は『伴奏に続いて国歌を唱和ください。』アナウンスしている事を耳にします。
これは上記の意味に照らせば、誤りであると言えます。
誤りの理由は「唱和」は歌ではなく、言葉を唱える場合に使われる事が多いと言う理由ではありません。
これは、現代では言葉だけでなく歌に拡大して使用しても問題ないと思えるからです。
誤っていると判断されるポイントは、誰か一人が先に歌い、それに続けて皆で歌うと言う歌い方ではないからです。
前奏に続いてであり、一人の歌に続いてではない事から誤った使い方だと言えるのです。
ちなみに、「斉唱」と「合唱」も混同して使われる事の多い言葉です。
「合唱」も西洋音楽の用語で、複数の人で歌う点では「斉唱」と同じですが、「斉唱」は一つの旋律を複数で歌うのに対して、「合唱」は複数の旋律をパートに分けて歌うと言う違いがあります。
しかし、幼稚園児や小学校低学年の児童に対しては「斉唱」と言う言葉が難しい事もあり、あえて「合唱」と言う言葉を使っている事もあるようです。
幼稚園児でも音楽発表会で、鍵盤ハーモニカとピアノと打楽器等で合奏する事は多く、それに対して本来は「斉唱」を使うべき所で、あえて「合唱」を使っているとも思われます。
まとめ
「斉唱」は複数の人が同じ旋律を歌う西洋音楽の用語であるのに対して、「唱和」は一人がまず唱えてから、続いて他の多くの人たちが同じ言葉を唱えることを指すものであり、違う意味の言葉です。
「唱和」は元々は言葉を唱える場合に使用される言葉でしたが、最近では一人がまず歌い出し、それに続いて複数人で同じ旋律を歌う場合にも使われています。
ちなみに、「唱和」と間違えて使いやすい言葉に「合唱」があります。
「合唱」は複数の人がパート分けした複数の旋律を歌う用語で、同じ旋律を複数品で歌う「斉唱」とは違う用語であり、間違えないようにしたいものです。