この記事では、「有余」と「猶予」の違いを分かりやすく説明していきます。
「有余」とは?
有り余ると書いて「有余」。
その漢字の意味通り、有り余ること、余りがあること、余分があること、といった意味に加え、数や月日の後ろに付け、それより少し長い、多いことを意味するといった場合もあります。
同じような意味を持つ言葉には、「余り」や「有り余る」、「十二分」、「余計」、「オーバー」などがあります。
「有余」の使い方
有り余っていることを意味する「有余」の使い方には、「お金に有余がある」や「時間の有余がない」、「財政的有余」などがあります。
また、数や月日の後ろに付ける使い方としては、「三年有余」や「五年有余の歳月」などがあります。
「猶予」とは?
引き延ばし決定、実行しない様子を意味する「猶予」。
しかも、ぐずぐずと引き延ばすといった意味があります。
また、実行の日時を延ばすといった意味もあり、単に延長すると意味で用いられる場合もあります。
「猶予」の場合、必ず実行しなければならないことに対し引き延ばす、延長する、といった意味が強くなります。
「猶予」の使い方
実行しなければならないことに対し引き延ばす、延長する、といった意味の「猶予」の使い方としては、「執行猶予」や「返済猶予」があります。
この場合、刑を実行することを延長する、返済することを延長する、といった意味となります。
そのほか、「一刻の猶予もない」や「一時的に猶予される」、「猶予期間」などがあります。
「有余」と「猶予」の違い
同じ「ゆうよ」という読み方となる「有余」と「猶予」ですが、その意味は全く別の意味となります。
「有余」は、有り余ることを意味し、「猶予」は、実行しなければならないことに対し引き延ばす、といった意味があります。
そのため、決して、同じ意味として用いることはできません。
「有余」の例文
・『最近、収入も増え、我が家の家計において、お金に有余があるようになりました。』
・『私は毎回、きちんとスケジュール管理を行い、慌てず落ち着いて仕事ができるよう時間の有余を確保するようにしています。』
・『五年有余にわたる闘病生活を支えてくれたのは妻でした。』
・『一人前の職人として認められるため、十年有余の修行に励んできました。』
「猶予」の例文
・『裁判の結果、彼には執行猶予付の判決が下されました。』
・『闘病中だった父が危篤状態となり、一刻の猶予もない状態だと医師から伝えられました。』
・『当社が起こした今回の件において、私たちには決断を猶予する時間などありません。』
・『会社運営が苦しくなり、銀行に頼み込んで返済を一か月間猶予してもらうことになりました。』
まとめ
同じ読み方でも、全く違った意味の「有余」と「猶予」です。
そのため、それぞれの意味を理解し、それぞれにあった使い方が求められる、そんな、「有余」と「猶予」になります。