日々の生活をしていく中で、自分の思っていることや考えていることとは全く逆の行動を取る必要があるのが人間の社会の苦しいところです。
どんなに『本音』でものごとを言えればいいでしょうか。
どんなに『正直』に生きることが出来れば楽でしょうか。
なかなか難しい問題であります。
しかし、この2つの単語をふと考えると同じ意味を表している様に見えて実はニュアンスが微妙に違っていることに気が付きませんでしょうか。
この記事では「本音」と「正直」の違いを分かりやすく説明していきます。
「本音」とは
この単語は『本当の気持ちや考えのこと』を表す単語です。
もっと厳密に言うと『それ(本当の気持ちや考え)を言い表す言葉』という意味があります。
この『言葉』という部分にポイントがあります。
これはどういうことでしょうか。
似た様な単語に『本心』という言葉があります。
これは『本当の気持ちや考えを秘めている心の状態』を表します。
つまり、『本心』だけでは言葉にして出しているということにはならないのです。
これに対して『本音』は『音』ということがあることから、実際に言葉に出しているという意味が強く込められた言葉になっています。
例えば『本音をさらけ出す。』などの様に使われています。
『本心』も似た様な使われ方をしていますが、実際はニュアンスが違っているということを覚えて頂ければと思います。
「正直」とは
一方この単語は『正しくて、嘘や偽りがないこと』を表しています。
もっと厳密に言うと『その(正しく、嘘偽りがないという)さま』を表しています。
つまり、ポイントは『さま』にあるという言葉になります。
正しくて嘘偽りがないということは厳密な定義が難しいですが、客観的な観点に近いものの主観的な評価をしているという部分を表しているという部分にも注意をしたい言葉です。
例えば、他の方から見ても明らかに倫理(すべきこと)には反していますが、道徳(組織やグループとしてしなければならないこと)に当てはめると仕方がないことがあります。
その場合などには『正直いって対応はむずかしい。』の様に倫理的ではないが、道徳に当てはめると正しくて、嘘や偽りがないという言葉になります。
非常にここの線引きは難しいところではありますが、『正直』とは『嘘偽りがないようにする努力を見せた態度』と考えて頂いても問題ありません。
「本音」と「正直」の違い
この2つの単語は『本当の気持ちを載せた言葉』か『嘘偽りがない様にしている態度』の違いではっきりと使い分けることが出来ます。
実は英語でこの単語を分けて見るととても理解しやすい場合があります。
『本音』は『Real feeling』という様に『本当の気持ち』という外に出す『表現』に重点が置かれています。
一方、『正直』は『Honest』と訳され、『虚偽からの解放』という『状態』に重点がおかれた意味になっています。
「本音」の例文
・『本音と建て前を使って上手く乗り切っている。』
・『人は辛いときにポロリと本音が出るものですね。』
・『本音を吐いてごらんよ。スッキリするよ。』
「正直」の例文
・『正直者が馬鹿を見る様な社会は間違えている。』
・『正直申し上げて、弊社で対応することは非常に難しいと考えております。』
・『どうしてこのような状態に陥ったのか正直言って分からない。』
まとめ
如何でしたでしょうか。
『言葉』か『態度』、『表現』か『状態』という微妙なニュアンスの違いがあるのが今回の『本音』と『正直』という言葉でした。
使い分けに迷った場合にお勧めしたい方法が、是非英単語で意味を見直してみると捉え方がスッキリすることがあります。
是非試してみて下さい。