うんざりするほど多くの事例がある状況を表す言葉に「枚挙」と「列挙」があります。
いずれも、数えながら数の多さを見せつけてくる印象をもつ言葉です。
しかしこの2つの言葉には、大きな違いがあるのを知っていますか。
この記事では、「枚挙」と「列挙」の違いを分かりやすく説明していきます。
「枚挙」とは?
「まいきょ」と読みます。
1つ1つ数え上げることを意味します。
たくさんありすぎて、いちいち数えられないという意味で「枚挙」にいとまがない、という表現がよく使われます。
「いとま」は「暇」で、数えるのを休む暇もないほどたくさんある、という意味になります。
1つ1つ数えるという作業から転じて、「いちいち数える」という煩わしさを伴うニュアンスをもちます。
似た言葉に、「きりがない」、「際限がない」、「ごまんといる」、「はいて捨てるほどある」、「終わりがない」、「腐るほどある」などがあります。
「枚挙」の使い方
「枚挙」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『前例をあげたら「枚挙」にいとまがない状況です』
・『具体的な事例を「枚挙」します』
・『高齢者が起こす交通事故の例は、「枚挙」にいとまがありません』
・『スポーツ選手にあこがれる女性は「枚挙」にいとまがない』
「列挙」とは?
「れっきょ」と読みます。
「列挙」も「枚挙」どうように、1つ1つ数え上げることを表現します。
さらに、列をつくるように「並べる」という意味があります。
並べあげたり、数え立てたりすることを言います。
「列挙」の使い方
「列挙」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『上司は部下に対して、プロジェクトの失敗に至った問題点を「列挙」しました』
・『少年は、歴史上の長生きした武将の名前を「列挙」して、得意になっています』
・『検察は、男の罪状を「列挙」しました』
・『彼女は飲み会に参加したくない理由を、これでもかと「列挙」して説明しました』
「枚挙」と「列挙」の違い
いずれも1つ1つ数えながら、あることの量の多さを知らしめる言葉で、多くの場合ネガティブな使われ方をします。
しかし、大きな違いが1つあります。
「枚挙」は「数えるのが億劫なほど数が多い」という「数の多さ」に重きをおいていますが、「列挙」は「並べる」、「並べられる」という状態を示す意味の方が重要です。
並べて数の多さを見せつける、または見せつけられるイメージです。
「量の多さ」を印象づけたいなら「枚挙」にいとまがない、とするのがおすすめです。
数の多さと内容まで人々に、整理して見せつけたいならば「列挙」が適当です。
まとめ
「枚挙」と「列挙」はとても似た言葉ですが、「数の多さ」と「列をつくるように並べる」という意味の違いがあります。
使い分けに迷ったら、数の多さを強調したいのか、並べて整理した情報を人々に見せたいのかを、自分で確かめてから言葉選びをすると良いでしょう。