「機微」と「機密」はいずれも、機と言う漢字を使いますが、それぞれの意味合いは異なります。
ただ、近年は情報保護の観点から「機微情報」や「機密情報」と言ったワードが登場しており、戸惑った方もいるかもしれません。
そこで、この記事では、「機微」と「機密」の違いを分かりやすく説明していきます。
「機微」とは?
「機微」は極めて細やかな心や物事の変化を現す時に使う言葉です。
機と言う漢字には、心の変化や何かが起こる兆しと言った意味があります。
微は「わずか」とも読み、かすかで感じにくい変化・違いを表現する時に使うのが一般的。
この両者の漢字を組み合わせることで、目では見えにくい微小な、精神や物事の移り変わりを現しています。
「機微」の使い方
特に人間の感情や、世相の細やかな動き・変化を表現したい時に使います。
また、繊細で壊れやすい事柄に対しても使うことが多いです。
「機密」とは?
「機密」は極めて重要な秘密事項を意味します。
この場合の機は「枢機」を指しているようです。
「枢機」は政治中枢や要枢など同じく、物事の肝心かなめとなる部分。
それに関わる秘密ですから、単に内緒と言うだけはなく、公に知られてはならないような情報を意味します。
「機密」の使い方
特に政治や軍事に関する情報のうち、秘匿する必要性が高い対象に使うのが基本です。
特に官界で用いることが多いですが、民間では会社における事業の根幹となる情報などを、「機密」と表現する場合もあります。
「機微」と「機密」の違い
「機微」は目には見えにくい変化を示す言葉です。
「機密」は絶対に隠しとおしたい、重要な秘密を指します。
全く別の言葉と言えるでしょう。
ただ、混同しやすいのが「機密情報」と「機微情報」です。
どちらも情報保護の観点からは、内容を漏洩させるわけにはいきません。
ただ、両者の扱う情報自体は大きく異なるため、注意が必要です。
まず、「機密情報」は外部に漏洩すると、国家や組織にとって重大な被害を生じかねません。
日本では、外交や軍事の国家機密が代表例で、これらを漏洩すると重罪となります。
対して「機微情報」は、公にされると精神的に苦痛を感じるような、センシティブな情報のことです。
個人に関する情報で言えば国籍や生年月日、信仰している宗教など、人によっては知られたくない事柄を指します。
これらを知られても直ちに危機的状況に陥るとは限りません。
ただし、人に知られるのは避けたい方は多いため、一定の保護・配慮を行うべき情報に含まれます。
まとめ
「機微」と「機密」の違いについてまとめてきました。
前者は精神などの細やかな移ろいのことで、後者は重要性の高い秘密事項のことです。
通常は全く違う使い方をしますが、近年は「機微情報」と「機密情報」が登場したことで、少々、混乱しているケースがあるかもしれません。
もし、使い分けで困った時は、この記事が参考になれば幸いです。