「正鵠を射る」とは?意味や使い方を解説

ことわざ・慣用句

「正鵠を射る」

「正鵠を射る」「せいこくをいる」と読みます。

「正鵠」という漢字はあまり使われないので書けなくて当然ですが、読める様にしておきましょう。

「正鵠を射る」の意味

「正鵠を射る」の意味は「ものごとの最も大切な点を正しく理解すること」です。

複雑なものごとでも何が最も大切なのかを抑えている状態を表します。

例えば、会議で意見がまとまらない時に、誰かが「その課題にとって何が最も重要なのか」を正確に理解した意見を述べて、皆が「至極もっとも」と納得した時に「正鵠を射る意見」と言います。

今何をするべきなのか、ものごとの真髄はどこにあるのかを把握できていて、それを踏まえた言動をする様子をコンパクトにまとめた言葉です。

「正鵠を射る」の言葉の使い方

「正鵠を射る」の使い方には以下のポイントがあります。

日常会話には使わない方がベター

「正鵠を射る」は難しい言葉で、日常会話で使うと分かって貰えないことがあります。

ビジネスでボキャブラリーの豊富な人に対して使うか、文章中で使うのが好ましいでしょう。

普段話す時にはシンプルに「的を射る・得る」を使った方がスムーズです。

否定形は「失う」になる

「正鵠を射る」は動詞ですが、否定形の場合は「正鵠を射ない」とは言わずに「正鵠を失う」になります。

元々「正鵠を失う(核心を外す)」という言葉があり、その肯定形として「正鵠を射る」ができたと言われています。

「正鵠を射る」を使った例文・短文(解釈)

「正鵠を射る」を使った例文と解釈は以下の通りです。

「正鵠を射る」の例文1

「彼の意見は正鵠を射るものだった」

ビジネスで議論をしていると、どうしてもそれぞれ自分が有利になる様な意見を述べるものです。

そのままでは中々結論がでないでしょう。

その様な時に要点を付いた意見が出ると、皆が耳を傾けるものです。

「確かにそうだ」と思わせる意見が出た時の様子を表しています。

「正鵠を射る」の例文2

「正鵠を射る質問をされてしまい返答に困った」

多少無理があっても自分の意見を通そうとしていたところ、見事に問題の核心を突く様な質問をされてしまい、返事ができずに困ったことを意味します。

それが誰もが納得できる意見ではなかったことも表しています。

「正鵠を射る」の例文3

「彼は非常にトークが上手いけれども、正鵠を射てるとは言い難い」

常に社交的でノリの良いトークができる人ですが、言っていることの論点がズレていることがあります。

この様な人はイマイチ信頼し難いという気持ちも伝えています。

「正鵠を射る」の例文4

「言い方はきついけれども正鵠を射たアドバイスだと思うよ」

誰かが友達に悩み事を相談した時に、かなりきつい言い方をされてしまいました。

他の友達に話したところ、言い方の問題であり内容はもっともであり、的確なアドバイスだということを表しています。

「正鵠を射る」の由来・語源

「正鵠を射る」「正鵠+を(助詞)+射る」から成り立っていて、語源は漢字の意味からきています。

「正」「鵠」も、矢の的である黒い部分、つまり的の中心を表しています。

的の中心に性格に矢を命中させられるという意味から転じて、「要点を押さえる」という意味に使われるようになったのです。

「正鵠を射る」の類語と解釈

「正鵠を射る」の類語と解釈を紹介します。

「正鵠を得る」

「正鵠を得る」は、「正鵠を射る」の元になった言葉と言われています。

元々な「ものごとの要点を得る」という意味から「正鵠を得る」として使われていたのです。

昭和の初期になると段々と「正鵠を射る」が使われることが増えてきましたが、意味は同じです。

「的を射る」

「的を射る」「ものごとの要点を捉える」という意味があります。

実はこの言葉は元々「正鵠を射る」と言われていて、その意味から「的を射る」に変化したものです。

現在では「的を得る」と使うこともありますが、「正鵠を射る・得る」同様どちらも同じ意味です。