言葉というのは時代と共に形を変えていく生き物であります。
しかしながら、本来持つ意味と新しい意味として使われている内容がしばしば論争を巻き起こすことはいつの時代でも発生しています。
例えば、『確信犯』などの誤用は既に本来の意味を理解している人は殆どいない状況です。
そんな誤用の代表例として『溜飲を晴らす』という言葉があります。
今回はこの表現について正しい意味を交えてご説明したいと思います。
この記事では、「溜飲を晴らす」の意味を分かりやすく説明していきます。
「溜飲を晴らす」とは?の意味
まず、結論から説明しますと、これは『溜飲を下げる』の誤用で、意味は『不平や不満、恨みなどの負の感情を解消して、気を晴らす』という意味になります。
実はこの『溜飲を晴らす』という言葉は約20年前の『国語に関する世論調査』でもすでに誤用されているのが分かっているものです。
もう一つ『溜飲が下がる』という表現がありますが、これは正しい表現であることを付け加えておきます。
ご覧の通り『溜飲』と『晴らす』(実際は下げる)という二つの単語が使われている言葉ですので、次の項でそれぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。
「溜飲を晴らす」の概要
まず『溜飲』についてですが、これは食べ物などが胃に滞ってしまい、酸っぱい胃酸が喉にまでせりあがっていることという意味をもつ言葉です。
読み方は『りゅういん』であり、『溜』は水などがたまるという意味を持つ漢字になっています。
さて、誤用の元である『晴れる』ですが、これは『気分などが晴れ晴れとなる』という意味が間違えて伝わってしまい、『下げる』、『下がる』という意味になってしまったという説があります。
しかしながら、『溜飲』、つまりせり上がった胃液は『晴らす』ものではなく、『下げる』ことですっきりするのであり、『晴れる』のは『溜飲を下げる』の本来の意味を先取りしているものになってしまうので誤用となります。
「溜飲を晴らす」の言葉の使い方や使われ方
これは再三申し上げている通り、誤用でありますので、是非『溜飲を下げる』か『溜飲が下がる』で覚える様にしたい表現です。
入社試験などでのSPIや一般常識問題にも出題される表現ですので、是非注意しましょう。
使われ方としては辛酸を舐めてしまった状況や誰かに競争などで負けてしまい悔しい状況に対してリベンジを果たしたという逆転した状況に対して使う場合が多い表現です。
「溜飲を晴らす」を使った例文
・『高橋さんが佐藤さんにズバット言ってくださったので溜飲が下がった。』
・『嫌味ったらしい先生をぎゃふんといわせて溜飲を下げた。』
・『長年苦渋を舐めていたが、とうとう試合で勝つことができて、溜飲が下がったよ。』
まとめ
如何でしたでしょうか。
所謂、誤用の代表例でもあったのが今回の『溜飲を晴らす』でした。
誤用して覚えている場合は是非この機会に正しい言葉の意味を認識していきましょう。
これ以外にもまだまだ誤用の表現というのは多く存在しています。
正しい言葉をできるだけ使う様に我々一人一人が意識をしたいものです。