毎年恒例で行われる映画祭や音楽祭、文学作品の授賞式のシーズンになると、よく見たり聞いたりするようになる言葉が「激賞」や「絶賛」です。
いずれも創造された作品や人々の行いをとても肯定的に評価し、ほめたたえることを意味しています。
しかし二つの言葉の違いを正しく知っている人は多くないかもしれません。
この記事では、「激賞」と「絶賛」の違いを分かりやすく説明していきます。
「激賞」とは?
非常にほめること、さかんにほめることを意味します。
気持ちを落ち着けていられないほど、激しい気持ちに駆り立てられ、力強くほめるさま表現しています。
似た言葉に、誉める、褒め称える、誉めちぎる、称賛する、賛美する、賛辞を贈る、称揚する、褒め上げる、ほめ殺す、絶賛する、べた誉めする、賞賛する、価値を認める、高く評価する、称する誉め称える、賞する、賛嘆する、などがあります。
「激賞」の使い方
「激賞」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・ベートーベンは運命を発表したあと、スタンディングオベーションで「激賞」を浴びた。
・各紙とも、彼女の勇気あるスピーチを「激賞」した。
・各国の映画評論家はこぞって、黒沢の「七人の侍」を「激賞」した。
・今回の芥川賞受賞作品は批評家の「激賞」を受けた。
「絶賛」とは?
絶大な賛美のことをいいます。
絶えまないほどの賞賛を意味しています。
この上なく、口をきわめてほめたたえることです。
似た言葉は「激賞」と同じですが、大賛成する、という表現が加わります。
「絶賛」の使い方
「絶賛」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・クリムトは「接吻」という絵画で評論家や絵画愛好者から「絶賛」された。
・ココシャネルは、キャリア復帰のファッションショーで「絶賛」を博した。
・彼女の演技は迫真にせまるものだったと、各方面から「絶賛」された。
・人気作家の新作が、先日から書店で「絶賛」発売中だ。
・今年アカデミー賞をとった話題作が、全国の映画館で「絶賛」上映中だ。
「激賞」と「絶賛」の違い
「激賞」の「賞」は賞状や鑑賞という言葉につかわれているように、優秀な成績をおさめた者に褒美を与えることや、そのものの美しさや良さを味わい楽しむことを意味します。
「激賞」はどちらの意味も反映し、作品や行為を鑑賞した結果、賞賛をあたえるにふさわしいと激しくほめたたえることです。
「絶賛」の「賛」は賛成や賞賛という言葉があるように、同意をしめしたり、ほめたたえたりすることを意味します。
「絶賛」は「激賞」よりも素晴らしさを声高に叫ぶようなニュアンスが強く、賞を与えるというような上の立場から判定を下す意味は含みません。
また「激賞」は「絶賛」よりも、優れたものに対して業績を表し、地位と名誉を与えるようというイメージがあります。
まとめ
「激賞」と「絶賛」はとても肯定的な響きをも言葉です。
強い感動や賛辞を表しています。
正しく理解して、優れた作品や行為をたたえるときに、敬意をもって使うとよいでしょう。