この記事では、「用命」と「要望」の違いを分かりやすく説明していきます。
「用命」とは?
「用命」は「ようめい」と読みます。
「用」は音読みで「ヨウ」、訓読みで「もちいる」と読み、「つかう」「働かせる」「役立てる」「もちいる」という意味があります。
「命」は音読みで「メイ・ミョウ」、訓読みで「いのち」と読み、「言いつける」「告げる」「言いつけ」という意味を含んでいます。
「用」と「命」の2文字で構成される「用命」は、2つの意味があります。
1つは「用事を言いつけること」という意味です。
「用命に従う」といった使い方をします。
そしてもう1つの意味は「商品などを注文すること」という意味です。
「御用命を賜る」といった使い方が一般的です。
「用命」はビジネスの場で、よく使われる言葉です。
取引先から注文を受けるという意味で用いられます。
この言葉は、ビジネス以外の場面で使うことはほとんどありません。
また、「用命」とは受け身の側が使う言葉です。
「用命」という言葉に尊敬を表す接頭辞の「ご」がつくと「ご用命」となります。
「ご用命」とは自分より目上の立場である上司や顧客に対して使う言葉です。
敬意を示した言葉である為、自分より目下の人に対しては使いません。
したがって部下や同僚に対して、尊敬の意味を示す「ご」がついた「ご用命」を用いるのは誤った表現です。
「ご用命」は上司からの用事や、顧客からの注文を受ける場合に用いる言葉だということを覚えておきましょう。
「要望」とは?
「要望」は「ようぼう」と読みます。
「要」は音読みで「ヨウ」、訓読みで「かなめ・いる」と読み、「物事のしめくくりとなる大切な部分」「かなめ」という意味があります。
「望」は「望」は音読みで「ボウ・モウ」、訓読みで「のぞむ・もち」と読み、「願う」「あらまほしく思う」という意味を持っています。
「あらまほしく」とは「あってほしい」という意味です。
「要」と「望」で構成される「要望」は「物事の実現を強く求めること」という意味になります。
「市民の要望にこたえる」「福祉の拡充を要望する」や「要望書」といった使い方が一般的です。
「要望」は自分よりも目上の相手、例えば上司や取引先が何かを望むときに用いられる言葉です。
「要望」を使うときは、物事が上手くいくようにお願いをする場合です。
「用命」と「要望」の違い
「用命」と「要望」それぞれの用語の違いはお分かりいただけたでしょうか。
「用命」とは「用事をいいつける」や「商品などを注文すること」です。
「用命」は、はっきりとお願いをされることです。
ビジネスの世界で用いられる言葉です。
「要望」は「物事の実現を強く求めること」です。
「ご要望」は、「相手の漠然とした望み」を意味しています。
はっきりとお願いをされる「用命」に対し「要望」は漠然とした望みです。
よく似た言葉ですが、微妙なニュアンスが違うということが伺えます。
「用命」の例文
・私にご用命を。お得意様ですから。
・ご主人様、ご用命がなければ休ませていただきます。
・ご用命でも?
「要望」の例文
・私は彼の要望に応じるわけにはいかない。
・この本はあなたの要望にぴったりです。
・ご要望に従って私の写真を同封します。
まとめ
以上が用命と要望の違いになります。
「用命」は、はっきりとしたお願い。
「要望」は、漠然としたお願い。
ニュアンスが違ってくるということがわかりました。