この記事では、「経世済民」の意味を分かりやすく説明していきます。
「経世済民」とは?意味
「経世済民」の読みは「けいせいさいみん」で、「世の中をよく治めて、人々を苦しみから救うこと」を意味する四字熟語です。
「経世済民」の概要
「経世済民」は非常に古めかしく感じられる言葉で、日常的に使われる事は少ない言葉と言えます。
「経世済民」の言葉を分解して、その意味を少し掘り下げて説明します。
「経世」の「経」は「治めるや、統治する」意味で、「世」は「世間や世の中や国」を意味します。
従って、「経世」は「世の中を治める」と言う熟語となります。
また「済民」の「済」は「救うや、援助する」と言う意味で、「民」は「民衆や人民や国民」を意味する言葉です。
従って「済民」とは「民衆や国民を救うこと」を意味する熟語となります。
「経世」は、ほぼ同じ意味の「経国」として古くから使われており、また「済民」も熟語として、古くから使われていました。
この「経世」と「済民」が合わさって、四字熟語として使われるようになったのは、江戸時代とされています。
江戸時代に儒学者や蘭学者などが、中国で発展した考証学者による「経世致用の学」に触発され、同じ考え方の「経世論=経世済民論」が熱心に論じられたことで、「経世済民」の四字熟語が広まり、定着して行ったのです。
この言葉は、封建時代に形成された言葉であり、それゆえに古めかしい印象を受けると共に、何となく為政者が上で、民が下だと言うニュアンスが感じられる側面があるのでしょう。
この「経世済民」を略した言葉が、「経済」です。
従って、本来は「経済」は「世の中をよく治める」と言う政治的な意味を持つ言葉でした。
しかし、江戸末期になると貨幣経済が進展し、広く政治的な意味を持つ「経済」が、「社会生活を営むのに重要な生産や消費や商売などの活動」を重視する言葉へと変化して行ったのです。
これとは別に、江戸末期から明治初頭にかけて、西洋から「economy」の概念がもたらされ、これを先の様に変化をしていた「経済」と訳したことで、今日の「経済」の意味へと完全に変化したのです。
「経世済民」の言葉の使い方や使われ方
「経世済民」の言葉は以下の例の様に使われます。
・『最近の政治家は、政治とは経世済民であるべきことを忘れ去っている。』
・『政治とは、国家・社会を正しくおさめることであり、その正しくは経世済民であるべきです。』
「経世済民」の類語や言い換え
「経世済民」は、「経国済民」や「国民のための政策」や「公助、共助」などが近い言い換えと言えます。
まとめ
「経世」は「世の中を治める」意味の熟語で、「済民」とは「民衆や国民を救うこと」を意味する熟語です。
従って2つの熟語で構成される「経世済民」は、「世の中をよく治めて、人々を苦しみから救うこと」を意味する四字熟語です。
この四字熟語は、「国民のための正しい政治」と言ったニュアンスの言葉ですが、省略して「経済」 と呼ばれることもあります。
この辺りの経緯・理由については、本文を参照し、理解していただきたいと思います。