この記事では、「経過」と「経緯」の違いを分かりやすく説明していきます。
「経過」とは?
時が過ぎることを意味する「経過」。
ある時間内におけるものごとの進行や変化、成り行きなどを意味するものとなります。
そのほか、ある場所や段階を通り過ぎることや小さな天体が大きな天体の前面を通過する現象も意味します。
「経過」を別の言葉で置き換えた場合、「推移」、「歩み」、「過程」、「進歩」、「過ぎ去る」などとなります。
「経過」の使い方
「経過」には、「経過観察」や「経過確認」、「経過報告」、「経過状況」、「経過措置」、「経過規定」、「経過良好」、「途中経過」などがあります。
そのほか、「経過」の場合、「経過する」、「経過した」などと用いることも可能です。
「経緯」とは?
縦と横、南北と東西、経線と緯線を意味するほか、ものごとに道筋を意味する「経緯」。
ものごとにおいて、発端から結末までの流れ全般を「経緯」と表現します。
今の結末に至るまで、どのようなことがあり、どのような流れがあったのか。
それが「経緯」なのです。
「経緯」を別の言葉で置き換えた場合、「いきさつ」や「あらすじ」、「一部始終」、「成り行き」、「背景」などとなります。
「経緯」の使い方
「経緯」には、「事件の経緯」や「これまでの経緯」、「事の経緯」、「どのような経緯で」などがあります。
そのほか、「経緯を話す」や「経緯を説明する」、「経緯を報告する」などと用いることも可能です。
「経過」と「経緯」の違い
時の流れや時間の流れを意味する「経過」とものごとの始まりから終わりまでを意味する「経過」。
その時間的な感覚に大きな違いがあります。
例えば、「事件の経過」と「事件の経緯」の場合、「事件の経過」は、事件からの時の流れを意味し、「事件の経緯」は、事件が起きた始まりから終わりまでを意味しています。
そのため、同じ事件に対するものでも、その中身は全く異なります。
「経過」の例文
・『無事にがんの手術も終わり、父は経過観察中となりました。』
・『上司の指示により、経過報告書を作成することになりました。』
・『大型台風の通過後、丸1日が経過したが、いまだに被害の状況を把握することができない。』
・『震災から10年が経過したにも関わらず、一向に復興が進まない我が町です。』
「経緯」の例文
・『なぜ、このような事態になったのか経緯を先生に説明しなさい。』
・『事件の経緯が少しずつではあるが解明されてきました。』
・『上司に今回のお客様とのトラブル発生における経緯を詳しく説明しました。』
・『今回、クラスで起きた事件における事の経緯を聞くため、私は生徒の自宅へと向かいました。』
まとめ
以上のように捉え方が異なる「経過」と「経緯」。
そのため、決して同じ意味として用いることはできず、「経過を報告する」、「経緯を報告する」とでは、その報告内容が異なることとなります。