この記事では、「臥薪嘗胆」の意味を分かりやすく説明していきます。
「臥薪嘗胆」とは?意味
仇をうち恥を除き去るために、長い間いろいろと試したり考えたりして苦労をしたり、肉体的・精神的につらい思いをしたりすることです。
そこから、目的を達成するためにつらさや苦しさをじっと我慢するという意味にもなります。
普段使うことが少ない漢字で、読みがわからないかもしれませんが「がしんしょうたん」と読みます。
「臥薪嘗胆」の概要
『十八史略』春秋戦国のはなしがもとになっています。
中国春秋時代、呉王夫差という人と越王勾践という人がいました。
呉王夫差の父は越に攻め入ったのですが、傷を負って病死をします。
父は後継者の夫差に「必ず仇をとるように」と言い残し、それに対して夫差は「3年以内に必ず」とこたえます。
夫差はその後、国の軍を充実させ、自らは薪の上で眠って復讐心をかきたてます。
そして、越王勾践を破りました。
勾践はその後に夫差の馬小屋の番人にされるなどの苦労をしますが、越に帰ることを許されます。
越に帰ったのち、富国強兵に励み、一方では苦い肝をなめて、以前の恥を忘れないようにしました。
勾践は後に夫差を滅ぼします。
「臥薪」とは、薪の上で眠ることです。
普段日本人は、柔らかい布団の上で眠っていることでしょう。
柔らかさが体を受け止めてくれるので、痛い思いをすることなく眠ることができます。
これとは違い、薪の上で眠ると体が痛いです。
固いものに体が当たって痛く感じ、慣れないと眠ることができません。
これはつらい状態です。
「あいつのせいでこんなつらい思いをしているんだ」と思うと、復讐心がかきたてられることでしょう。
「嘗胆」とは苦い肝をなめることです。
「胆」は内臓のひとつで、肝臓を指していると考えられます。
魚の肝臓を食べると苦いです。
勾践がなめていた胆とはどのようなものかわかりませんが、魚の肝臓よりも苦かったことでしょう。
このように、夫差と勾践は仇をうつために自らにつらい思いをさせて、そのときが来るまで耐え忍んでいます。
このことから、目的を達成するために苦労を耐え忍ぶという意味にもなります。
「臥薪嘗胆」の言葉の使い方や使われ方
現代社会では仇をうつことは、あまりないことでしょう。
現在は、目的を達成するために苦労を耐え忍ぶという意味で使われています。
実際に薪の上で眠ったり、苦い肝をなめたりすることを指して使用するのではありません。
目的達成のために耐えることで、いじめなどを耐えることではありません。
「臥薪嘗胆」の類語や言いかえ
「坐薪懸胆」が似たような意味を持っている言葉です。
将来の成功や活躍のために、つらい生活をじっと我慢するといった意味になります。
薪の上にじっと座り、寝床の上に苦い肝をかかげて、それをなめながら復讐を誓う生活からきている言葉です。
まとめ
目的達成のためにつらい思いにじっと耐えることを意味している言葉です。