動物というのはとても身近で我々の文化や宗教などに多くの意味を付与しています。
例えば中国では豚は幸運の印として、東欧の一部ではオオカミは裏切り者の象徴、ヨーロッパでは黒猫は不吉の印など様々です。
この様な背景もあり、動物に意味を持たせて表現方法に取り入れるというのは世界各国で見られる現象です。
日本でも『犬も歩けば棒に当たる』や『豚に真珠』など多くの動物を使った表現があります。
その中でもあまりいいイメージのない『蛇』を使った表現があることをご存じでしょうか。
『蛇に睨まれた蛙』などは聞いたことがあると思いますが今回は『蛇の生殺し』というなんだか物騒な表現について見ていきましょう。
この記事では、「蛇の生殺し」の意味を分かりやすく説明していきます。
「蛇の生殺し」とは?の意味
この言葉の意味は『ひと思いに殺さず、半死半生の状態にして苦しめること』という意味を表す表現です。
これが転じて『物事の決着を付けずに苦しめる』という意味もあります。
「蛇の生殺し」の概要
この表現のポイントは『蛇』と『生殺し』という表現にあります。
それぞれを見ていきましょう。
まず『蛇』ですが、気持ち悪い生物の代表として忌み嫌われていますが、脱皮を繰り返して成長することから国や地域によっては力強い生命力の象徴とされてもいる動物です。
実際、蛇というのはなかなかしぶとく、体に大きなダメージを負ってもしばらくは活発に活動をするとても生命力にあふれた生き物です。
さて、もう一つの『生殺し』についてですが、これは殺す寸前まで痛めつけることを指す言葉です。
暴力が法律的にも道徳的にもNGになった現代では、中途半端な状態にして心理的に苦しめることを指す意味としてもいます。
『蛇の生殺し』という表現に戻ると、これは『蛇が生殺し』をするのではなく、『蛇を生殺し』することを指します。
生命力の強い蛇といえど痛みそのものは我々が感じる様に変わりはありません。
そんな蛇を殺す寸前まで痛めつけるというのはイメージをすると相当なひどい仕打ちであることがお分かりいただけませんでしょうか。
「家書万金に抵る」の言葉の使い方や使われ方
実際に物理的なひどい仕打ちをするという意味でも使われますが、今ではどちらかというと対象に対して中途半端な状態のままにすることでやきもきさせたり心理的に強い負担を与えるのが主な使われ方です。
例えば『テストの結果をまだ発表しないなんてこんなのは蛇の生殺しだ』の様に使われています。
「蛇の生殺し」を使った例文
・『面接結果が2か月経過しても連絡がこない状況は蛇の生殺しに他ならない。』
・『そんなことをしていると彼から蛇の生殺しにされてしまう。』
・『告白をしたのに一向に返事がないので中田さんは蛇の生殺しの状態になっている。』
まとめ
如何でしたでしょうか。
今回は強い生命力の象徴である蛇を付けたすことで、生殺しという中途半端に痛めつけたり苦しめる状態をさらに強めた表現が『蛇の生殺し』でした。
いくらいいイメージのない蛇でもこの様なネガティブな表現に使われるのはなんだか残酷な気がしますが、生物の特徴をよくとらえている面白い表現とも見ることができます。
願わくば『蛇の生殺し』にすることもされることもないように気を付けたいものです。