この記事では、「蟷螂の斧」の意味を分かりやすく説明していきます。
「蟷螂の斧」とは?意味
「蟷螂の斧」は難しい漢字ですが、読みは「とうろうのおの」です。
「蟷螂」とは昆虫のカマキリのことで、「蟷螂の斧」の文字通りの意味は、カマキリの前足の大きなカマを意味します。
そしてこの「蟷螂の斧」は、次項で説明する逸話を由来として、現在では「弱者が自分よりも明らかに強い者に、無謀に立ち向かう姿や、その無駄ではかない抵抗の姿」を意味する言葉となったのです。
「蟷螂の斧」の概要
「蟷螂の斧」の言葉の由来となる故事は「韓詩外伝」の中に記載されています。
その故事・逸話は、斉の荘公が狩りに出かけた時の話です。
一匹のカマキリが自分よりも遥かに巨大で頑丈な馬車の車輪に向かって、一生懸命つついている姿に、荘公の従者は、「カマキリは後退することを知らず、前進することしか知りません。
カマキリは自分の力を顧みず、大きな敵にも無謀にも襲い掛かるのです」と、荘公に説明したのです。
すると荘公は「カマキリがもし人間なら、きっと天下を取るであろう」と答え、カマキリを踏みつけることなく、通り過ぎたと言うのです。
これが「蟷螂の斧」の由来とされています。
前項で「蟷螂の斧」は、現在では「弱者が自分よりも明らかに強い者に、無謀に立ち向かう姿や、その無駄ではかない抵抗の姿」を意味すると記載しましたが、この故事・逸話での荘公の答えなら、「天下を取るであろう」と否定的ではなく、むしろ肯定的な意味合いがあった事が伺えます。
「蟷螂の斧」の言葉の使い方や使われ方
「蟷螂の斧」は、ビジネスにおいて、巨大な同業他社に無謀な挑戦をする事をいさめる場合や、逆に巨大な相手にも果敢に挑戦すべきと決断を促すケース等で使われます。
具体的には、『あの巨大企業に真正面から対抗するのは、まさに蟷螂の斧だ。』や『業界大手に戦いを挑むのは蟷螂の斧と言われるかも知れないが、挑戦しなければ、結果は分からない。』や『入社2年目の私が、キャリア十数年の先輩と売り上げを競うのは、蟷螂の斧だと言われるでしょうが、とにかく挑戦するつもりです。』と言った様に使われます。
「蟷螂の斧」の類語や言い換え
「蟷螂の斧」の類語や言い換えとしては、『ごまめの歯ぎしり』や『竜のひげを蟻が狙う』などが挙げられます。
『ごまめの歯ぎしり』は無駄で意味のない挑戦と言うニュアンスが強く、また「竜のひげを蟻が狙う」の方は、身の程知らずで、無謀で向こう見ずな挑戦のニュアンスが強い類語といえます。
まとめ
「蟷螂」とは昆虫のカマキリのことで、「蟷螂の斧」の文字通りの意味は、カマキリの前足の大きなカマを意味します。
この「蟷螂の斧」は中国の故事・逸話から「弱者が自分よりも明らかに強い者に、無謀に立ち向かう姿や、その無駄ではかない抵抗の姿」を意味する言葉として、比喩的に使われるようになったのです。