台風や地震など大規模災害を伝えるニュースで耳にする言葉に「被災者」と「避難者」があります。
このふたつの言葉はどのように区別されているのでしょうか。
今回は、「被災者」と「避難者」の違いについて解説します。
「被災者」とは?
「被災者」とは、「災害の被害者」を意味する言葉です。
一般的には台風や地震など「天災の被害者」という意味で使われますが、大規模な崩落事故など天災以外にも人災などの被害者に対しても用いられます。
日本の災害対策基本法では災害を「異常な自然現象」と規定していますが、一般用語としての「被災者」は「多くの被害者を出すような大規模な事故」の被害者も含みます。
被害の内容は財産もしくは生命に対する被害を指しています。
「家屋の損壊」「家財の喪失」「怪我」「死亡」と言った直接的な被害だけではなく「道路や鉄道など交通インフラ破壊による孤立」「電気屋ガスなどの供給が停止したことによる生活困難」など間接的に被害にあった人も「被災者」に含まれます。
日本で「被災者」と言う言葉が一般的になったのは1995年の阪神淡路大震災がきっかけです。
これまでも台風被害などで「被災者」と言う言葉は使われていましたが、戦後に発生した災害としては類を見ない大規模な被害が発生した阪神大震災の被害者に関連するニュースで盛んに使用されたことで一般の人にまで浸透したとされています。
「被災者」の使い方
・被災者の救援に自衛隊が派遣された。
・被災者の捜索が難航している。
・被災者に見舞金が配られる。
・被災者支援の団体が発足した。
「避難者」とは?
「避難者」とは「被害から逃れるために自宅や職場など普段いる場所から他の場所へと移動した人」を意味する言葉です。
「避難者」の「避難」とは「難を避ける」という意味で「理不尽な被害から逃れる」ことを表しています。
「理不尽な被害から逃れようとしている者」が「避難者」です。
理不尽な被害とは自分の責任によるものではない被害全般を意味するもので、具体的には「天災」「事件」「事故」など抗いがたい災害や災難を指しています。
「被害を避ける目的でその場を離れる人」が「避難者」であり期間や移動距離に厳密な決まりはありません。
トラブルから逃れるために隣室へ移動するのも放射能に汚染された地域から他地域へ引っ越すのもどちらも「避難者」です。
「避難者」がその場を離れるのは被害を逃れるための一時的なもので基本的には帰還や帰宅を前提にしている人に対して使われます。
「避難者」の使い方
・台風の避難者を体育館に案内する。
・避難者に食料と水が配られた。
・地震の避難者を自治体が受け入れる。
・避難者の生活を支援する団体が発足した。
「被災者」と「避難者」の違い
「被災者」と「避難者」の違いは「災害被害」です。
「被災者」は災害の被害にあった人を指す言葉です。
程度の違いはあっても災害によって何らかの被害を受けた人飲みに限定して用いられる表現です。
「避難者」は被害を逃れるためにその場を離れた人を指す言葉です。
既に被害にあった人だけでなく被害を予測して逃れた人も含むため、被害者もそうでない人も避難さえしていればどちらに対しても使える表現です。
災害被害にあって別の場所に逃げてきた人は「被災者」であり「避難者」でもあります。
まとめ
「被災者」と「避難者」はどちらも災害に関連して使われる言葉ですがそれぞれ指している内容が異なる別の言葉です。
間違えて使うと混乱を招くのでそれぞれの意味を正しく覚えておきましょう。