何かを正しく、また深く理解しようとするときに、対象となる物事だけではなく、前後に起きた別の物事もあわせて検証したり、関係を調べたりする必要があります。
そのときに使用されるのが「起因」や「由来」といった言葉です。
いずれも物事どうしの因果関係をしめす言葉ですが、使う場面がことなるので注意が必要です。
この記事では、「起因」と「由来」の違いを分かりやすく説明していきます。
「起因」とは?
「きいん」と読み、ある物事が起こる原因となることを意味します。
ことの起こりや、元々の理由のことです。
「基因」と書くこともあります。
多くの原因が存在する中でも、最も基本となる土台の原因にあたるものをさします。
一般的にはネガティブな場面で使われます。
「起因」の使い方
「起因」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・ニュースになるような大きな事故だったが、不注意に「起因」するものだったらしい。
・国境問題に「起因」する紛争が、世界中で続いている。
・機械の未整備に「起因」する事故が、工場で頻発した時代があった。
・人間関係のストレスに「起因」するうつ病にかかる人が増えている。
・昔このあたりで栄えた国が滅んだが、異民族による進出が「起因」と考えられている。
「由来」とは?
「ゆらい」と読み、ある物事がいつ、何から起こり、どのようにして現在まで伝えられてきたかをしめす言葉です。
別の表現として、起源や歴史、ことの起こり、いわれ、来歴、由緒といいかえることもできます。
物事がいままでたどってきた経過をさしています。
また二つ目の意味として、あることが昔からそのようであるさま、元来の姿、本来こういうものだと、表現するときに使う場合もあります。
「由来」の使い方
「由来」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・息子は自由研究で、近所にある神社の「由来」を調べた。
・この地域の名前の「由来」は、竜の伝説にもとづいているらしい。
・祖父は代々と伝えられている家宝の「由来」を孫たちに語ってきかせた。
・私は、人間とは「由来」いい加減なものだと考えている。
「起因」と「由来」の違い
「起因」は物事の因果関係を明確にしたいときに使用するのが適当です。
事件や事故など好ましくないことが起きたとき、再発を防ぐためや賠償などの問題を解決するために、因果関係を専門家が検証する場合があります。
その際にもちいられ、起きていることの全体像を人々が把握するのに役立つ言葉です。
一方「由来」は物事の起源や歴史を振り返るときに使われます。
伝説や言い伝えも多く、因果関係は明確ではない場合もあります。
使い分けるときは、物事の原因を検証する理由を考えると良いでしょう。
まとめ
「起因」と「由来」はいずれも物事の関係をあらわす言葉です。
しかし使用の場面はことなります。
物事の関係を振り返る理由を考えましょう。
「起因」と「由来」の違いを正しく理解すれば、物事の全体像を把握する参考になるでしょう。