ひとつの文字が抜けているだけで、まったく違った意味をもつ言葉もあります。
この記事では、「足りない」と「物足りない」の違いを分かりやすく説明していきます。
美しい日本語を勉強していきましょう。
「足りない」とは?
足りない(たりない)とは、数が少ないこと。
予定していた量を、満たしていないことです。
また「能力がないこと」も足りないと表現します。
「足りない人」と用いると、頭の回転が鈍い人という意味になるので、使い方には注意しておきましょう。
「足りない」には「足」という漢字が入っています。
もともと「足」は、十分にあることを示す言葉です。
お腹いっぱいになれるくらい十分あること、見込んでいた数があることが「足りる」です。
その「足りる」に「ない」の打ち消しの言葉が含まれているので、欠けていること、不十分なことが「足りない」になります。
具体的な使い方を、見ていきましょう。
「人手がまったく足りないので、求人広告をうつことにした」「上司から努力が足りないと、叱咤激励された」「年金生活だけではお金が足りないので、仕事を始めることにした」このように、理想に追いつかない状態が「足りない」です。
「物足りない」とは?
物足りないとは、心が満たされていなくて満足できないこと。
思い通りの生活が描かれず、不満があることです。
「物足りない」とは「物が足りない」と書きます。
この場合の物とは、お金や名誉、そして心の豊かさなどを指します。
周りと見比べてしまい、虚しさを感じてしまう気持ちが「物足りない」です。
心の中にぽっかりと穴が開いて、満たされない状態。
思いきり楽しめない心の動きを、物足りないといいます。
物足りないの例文には、このようなものがあります。
「病院の食事は、どこか物足りない味がする」「発売したばかりのゲームが、簡単すぎて物足りない」物足りないとは不満が残ること、改善の余地があると思うことです。
「足りない」と「物足りない」の違い
「物」が付くだけで、言葉の印象は大きく変わります。
「足りない」と「物足りない」の違いを、分かりやすく解説します。
・強い不満をあらわす「物足りない」
「足りない」と「物足りない」の大きな違いは、読み手の主観がはいっているのか、いないのかです。
「足りない」は「少ない」を訳したもの。
人数が足りない、物品が足りないなど「数が満足でないこと」をあらわします。
対して「物足りない」は「満足できるレベルではない」という強い不平不満の気持ちがはいった言葉です。
自分にとって、パーフェクトではないと思った場合に使います。
まとめ
「足りない」と「物足りない」の違いを分かりやすくお伝えしました。
「足りない」は予定していた量や数よりも少ないこと。
追加しなければいけない状態です。
そして「物足りない」は満足できるレベルではないこと。
改善の余地があると判断した場合に用います。
言葉の絶妙なニュアンスを知って、文章の達人を目指していきましょう。