人間関係が複雑になってくると、どうしてもスムーズには行かない局面が訪れます。
特に相手との関係がうまく回らない時に、人間関係に軋轢や亀裂が生じ始めます。
ここで使用した「軋轢」や「亀裂」とは、どのような意味でしょうか。
また、違いはどのようなところにあるのでしょうか。
この記事では、「軋轢」と「亀裂」の違いを分かりやすく説明していきます。
「軋轢」とは?
「軋轢」とは、「あつれき」と読み、「両側の動きの違いによって中間部分がキシキシ鳴る」ような状態のことです。
列車の連結部分で旋回時などに、大きな音が鳴っている場合がありますが、まさにそのような意味です。
物理的な状態を表すこともありますが、多くの場合は、人間関係において、それぞれが自分の主張を曲げないことによって起きる心理的なものを表す場合が多いとも言えます。
英語では、「conflict」が近いでしょう。
「亀裂」とは?
「亀裂」とは、「溝が生じている」という意味です。
「亀」という文字が使われているように、その溝は亀の甲羅のようなものを想定しています。
この言葉は、ただ単に物理的な「溝」のことを表現する場合もありますが、もっと心理的な「人間や物事の関係性に生じた溝」のことを示すことも多いと言えます。
英語では「crack」が近いでしょう。
「軋轢」と「亀裂」の違い
「軋轢」と「亀裂」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、抽象的な使用法として、人間関係が、「うまくいっていない」という状況を表現するものという意味では同じです。
しかし、違うのはそれがどの程度のギャップなのかという部分です。
「軋轢」が、「音が出る程度だがまだ離れてはいない」状況であるのに対して、「亀裂」は、「はっきりとした溝がある」、つまり「離れている」状態であるという違いです。
すなわち、一般的には「軋轢」よりも「亀裂」の方が、ギャップが大きいと言えます。
「軋轢」の例文
「軋轢」の例文は以下のようになります。
・『会社生活において、人間関係の軋轢に悩むことが多いでしょう』
・『プロジェクトリーダーの管理手腕によっては、チーム間の軋轢を読んでしまう場合もあります』
「亀裂」の例文
「亀裂」の例文は以下のようになります。
・『東日本の沖合に存在する海底の亀裂のことを日本海溝と言います』
・『家族の間の心理的な亀裂を修復するためには、話し合うことが必要です』
まとめ
この記事では、「軋轢」と「亀裂」の違いを、解説してきました。
人間関係がうまくいっていない時に使用される、「軋轢」や「亀裂」という言葉は、果たして適切に使用されているでしょうか。
重要なのは、自分と相手の間にある緩衝材(バッファ)です。
これが存在していれば、「キシキシと鳴る」ことも「断裂」することもないでしょう。
その「緩衝材」とは、時には笑いであったり、同じ趣味であったり、気分転換であったり、家族だったりするのです。