この記事では、「軟弱」と「貧弱」の違いを分かりやすく説明していきます。
「軟弱」とは?
「軟弱」【なんじゃく】は、ものが軟らかくて弱々しい様子を指す言葉です。
また、意志がしっかりしておらず、他人の言い分にすぐ従う態度を表すときにも使われます。
「軟」は、やわらかい、弱いという意味、「弱」は力がない、かよわい、と言う意味を持つ漢字です。
この「軟」と「弱」が組み合わされることで、やわらかいためにかよわい様子、あるいは力がなくて自立できない頼りなさが表されます。
「軟弱」は物理的にやわらかくてふにゃふにゃしている様子を指すこともあれば、人の精神的な弱さ、生命力の弱さを表して使われることもあります。
使い方の一例
「軟弱な地盤の上に建物を建ててはいけない」
「日照不足で、野菜がひょろひょろと軟弱に育った」
「もう疲れてしまったなんて、君は軟弱者だなあ」
「軟弱」の類義語は「ひ弱」【ひよわ】や「不甲斐ない」【ふがいない】などです。
「ひ弱」はなよなよとかよわい様子、「不甲斐ない」は頼りないことを指し、弱々しいさまを表しているところが共通しています。
「貧弱」とは?
「貧弱」【ひんじゃく】とは、内容が乏しい、小さくて見劣りするさまを表す言葉です。
「貧」は不足していること、「弱」は力がないことを意味する漢字です。
「貧」と「弱」が組み合わされることで、内容が不足しているために劣っている、少ない、小さいために劣って見える様子を表しています。
「貧弱」は一般に、ひょろひょろしている、大きさが足りないなど、物理的に劣っている様子を指すときに使われます。
また、数が少ない、内容が充実していない、など内容が不十分な様子を指すときにも用いられます。
使い方の一例
「彼はがりがりに痩せていて貧弱な体形だ」
「旅館に宿泊したが、朝食の内容が貧弱でがっかりした」
「政府の貧弱な体制を批判する」
「貧弱」の類義語には「みすぼらしい」「貧相」などがあります。
「みすぼらしい」「貧相」は「貧弱」と同様に見劣りする様子を表す用語ですが、見た目のことを言い表しているところが異なります。
「軟弱」と「貧弱」の違い
「軟弱」と「貧弱」の違いを、分かりやすく解説します。
「軟弱」と「貧弱」は、共通して「弱」という漢字を含みますが、それぞれ別の意味を持つ言葉です。
「軟弱」はやわらかくてか弱いもの、頼りないものを指し、「貧弱」は内容が乏しいものや小さくて見劣りするものを指します。
どちらも弱々しく頼りないものに対して使われますが「軟弱」はやわらかいもの、「貧弱」は大きさや内容が足りないものを指しているところが異なります。
また「軟弱」は人の意志や態度を表すときにも使われますが「貧弱」は人の意志に対して使う表現ではありません。
まとめ
「軟弱」と「貧弱」は互いによく似ている印象を受けますが、意味や使い方は異なっています。
両者が混同しないよう、ニュアンスの違いを把握しておきましょう。