人間はかつてソクラテスが述べた様に他人とのかかわり合いを避けて生きることはできない『社会性動物』です。
家族という集合体だけでなく学校や会社、クラブなどあらゆる集合体の中で相互に影響をしあって生きています。
その為、他人に迷惑を掛けない規範となる考え方が大切になっています。
また、例え一人であっても、見ず知らずの他人との関係を出来るだけ友好的に保つ為に考え方や態度は重要です。
そんな規範とすべき考え方や態度を人間は『道徳』や『倫理』という概念を使って今日まで発展してきました。
しかし、このよく聞く言葉、実際に違いについて説明できる方はどれくらいいらっしゃいますでしょうか。
この記事では「道徳」と「倫理」の違いを分かりやすく説明していきます。
「道徳」とは
一言で説明をすると『人々が正しい行動を行う為に従わなければならない規律の総体のこと』です。
一見すると『法律』の様な人間社会としてのルールの様な強いイメージを持たれるかもしれませんが、これとは違います。
法律は外部からの強制力なのに対して、『道徳』とは自ら社会性を保つ為にふさわしい行為を行う様に促す原理原則です。
したがって、『法律』は破ると罰せられるのに対して、『道徳』は破っても罰せられることはありません。
しかしながら、周りの人間には負のイメージを与えてしまい、ある意味では『法律』を破ることと同等程度に問題が発生しかねないという部分も持っている非常にデリケートな部分です。
『法律』ほどの強制力はなくとも、かなりグレーな部分での『義務』的な要素が含まれているのが『道徳』です。
「倫理」とは
それでは『倫理』はどうでしょうか。
会社や組織には『倫理委員会』というものが存在する場合も多いですが、これはどの様な意味で使われているのでしょうか。
『倫理』の意味も非常にきわどいのですが、『人間として善悪の判断をする際に基準や規範となるまもるべき考え方』です。
もう少し砕いてみましょう。
ポイントは2つあり、『基準や規範』そして『べき』という部分です。
結論を申し上げると、『倫理』は『人間として行ったり、守ったりした方がよいとされること』を指します。
例えば、困っている人を助けるのはたとえ助けなくても人から罰せられることはありません。
しかし、行ったほうが『よい』とされるのです。
これが『倫理』の一番簡単な考え方です。
「道徳」と「倫理」の違い
非常によく似ており、意味を混同しがちなこのきわどい2つの言葉ですが、これは『しなければならない』のか『したほうがいい』のかというポイントではっきりと区別を付けることができます。
例えば、公共交通機関の優先席でお年寄りや体の不自由な人が居ても譲らないのは『法律』としては罰せられませんが、『道徳』としてはアウトです。
周りの方に批難されることもあります。
しかし、譲る際に、手荷物などを持ってあげて座先に座るのをフォローすることは、別にしなくても問題ないですが、すると『お年寄りや体の不自由な方を労わることのできる人』つまり、『倫理観のある人』という印象を受けます。
まとめ
如何でしたでしょうか。
非常によく使われているものの、間違えて覚えていたり混同して理解していることも多い『道徳』と『倫理』でした。
是非一度意味をしっかりと区別をつけて覚えて、使える様に、また、行動できる様にしてみては如何でしょうか。