特に優れた人を指す言葉として「達人」と「玄人」があります。
このふたつは似たような意味合いで使われることの多い言葉ですが実は全くの別物です。
混同されることも多いこのふたつの言葉のどこに違いがあるのでしょうか。
今回は、「達人」と「玄人」の違いについて解説します。
「達人」とは?
「達人」とは、「優れた知識や技術を身につけている人」を指す言葉です。
「達人」とは「達した人」という意味の言葉です。
「知識や技術を極め頂点にまで達した人」が「達人」であり人並み外れて優れた知識や技術を習得した人を指します。
一般的に「達人」という言葉は修練によって身につけることが出来る知識や技術を極めた人に対して使われる表現です。
生まれつきできるのではなく練習やトレーニングなどを積み重ねて後天的に習得できる知識や技を極めた人を意味しています。
「もうこれ以上はないといえるほどの高みに達している人」に対する敬称として相手を尊重する意味で使われる言葉です。
修練を重ねることなく生まれつきこなせる人には「達人」は使わず「天才」名度別の表現が用いられます。
「達人」の使い方
・剣の達人の模範演技を観る。
・学生時代からギターにのめり込み、ついに達人と言われるほどにまでテクニックを高めた。
・極めた技は達人と称されるほどだ。
・麺打ちの達人が打った麺を使ってラーメンを作る。
「玄人」とは?
「玄人」とは、「高い技術や知識によってお金を稼いでいる人」を指す言葉です。
「玄人」は「素人」の反対語です。
一般的には「専門家」という意味合いが強いですが厳密には専門的な知識や技術を身に着けているだけではなく「知識や技術で収入を得ている」という部分が重要になります。
特定の仕事で収入を得ることを「なりわいにする」と表現しますが、「玄人」はまさに「知識や技術を利用した仕事を生業にしている人」を指す言葉です。
仕事にしている以上は知識や技術が高い水準であるのは大前提ですが必ずしも必須条件ではありません。
「玄人」は仕事にしているかどうかというその人の立場を意味する言葉であり技能の上下を指すものではありません。
知識や技術で収入を得ていれば貧弱な知識や乏しい技術歯科身につけていな人であっても「玄人」に含まれます。
「玄人」の使い方
・難しい仕事は玄人に頼むに限る。
・さすがは玄人、と声を上げたくなるほどの見事な仕事ぶりだ。
・玄人の芸には思わず引き込まれるものがある。
・玄人はだしの素晴らしい包丁技術。
「達人」と「玄人」の違い
「達人」と「玄人」の違いは「技量か金銭か」にあります。
「達人」は優れた知識や技能を身につけた人で、英語でいうところの「エキスパート」に当たる存在です。
プロ・アマ関係なく技量の高さによって決まります。
「玄人」はその道で収入を得ている人で、英語でいうところの「プロフェッショナル」に当たる存在です。
技術や知識の程度にかかわらず職業として金銭を対価に知識や技術を提供している人すべてが含まれます。
医者を例にするとすべての医者の中で優れた外科手術名ど特に優れた知識や技術を身に着けている医者が「達人」、名医からヤブ医者まで医師免許を所持し医療に従事して収入を得ている医者は全て「玄人」です。
まとめ
「達人」と「玄人」はどちらも優れた人を指す言葉として使われますが具体的な意味合いは大きく異なります。
間違った使い方をしないようにそれぞれの意味を正しく理解しておきましょう。