この記事では、「適正」と「適切」の違いを分かりやすく説明していきます。
どう使い分ければ良いのだろうと悩んでしまう二つの言葉ですが、違いをしっかりと区別していきましょう。
「適正」とは?
「適正」とは、物事や目的に性質が見合っていて、なおかつ正しい様子のことを表します。
適は動詞にすると適う「かなう」と読みますが、当てはまっている、ちょうどよくふさわしいという意味を指す言葉です。
正しく適うという文字通り、道理や人の道に正しく当てはまっているか、モラルを問うような内容を扱うときに使用します。
・『適正価格のついた商品』
市場相場という基準に対して高過ぎたり低過ぎたりしていなければ、価格が商品に見合っており、正しいこととして「適正」であると言えます。
・『適正な手続きを行う』
正しく書類を揃えたり、決められた手順を踏んだりして不正がなければ、手続きとして正しく処置できており、「適正」なものと判断できます。
このように基準となる数値や具体的な指標がある場合によく使われます。
基準やルールがある物事に対して正しくあるかを述べるときに使用するため、法令等いかなる理由があっても守るべきものに対して表現する言葉となります。
法律を犯していない、モラルに反していない、道徳的であるという意味を含んでいると言えるでしょう。
「適切」とは?
「適切」とは、物事によく当てはまっており、過不足のない様子を表します。
そこに厳密な基準はなく、ちょうどよく当てはまっていてふさわしいことを表現する言葉です。
また、一般常識で考えて、妥当だと判断されるときに使われます。
・『怪我をした子どもに適切な処置を行う』
怪我の程度に合ったちょうど良い手当てをすることから「適切」を使います。
・『優勝を逃した友人にかけるべき適切な言葉が見つからない』
場面や雰囲気、相手の性格などを考慮して、ふさわしい声掛けをするという意味で「適切」を使用します。
・『友人の結婚式に白のドレスを着て行くことは適切ではない』
結婚式にどの服装で参列するかはマナーの範疇です。
マナーは大事なことですが、違反をしたからと言って罰せられるわけではありません。
社会通念上ふさわしいかどうかということなので、「適切」を使って表します。
このように具体的な基準はなくとも、一般的に誰しもがそれで良いと判断できるものに使用する言葉です。
マナーや試験問題など、たとえ間違えたとしても善悪で判断されないものに対して表現する言葉であると言えます。
「適正」と「適切」の違い
どちらの言葉にも入っている「適」という漢字ですが、ちょうどよくピッタリという意味を持ちます。
「適切」の方が「適正」よりも意味合いが大きい言葉であり、単に状況や目的に当てはまっていることや、その場の雰囲気にふさわしいことを表します。
その「適切」の中に善悪の正しさの判断が含まれると、「適正」という言葉で表すものと考えられます。
まとめ
ちょうどよく、正しくあるべきことには「適正」を使い、単にちょうどよく、ピッタリであることには「適切」を使用するようにしましょう。
正しいとする基準が存在するかどうかで判断すると、より簡単に区別ができます。
基準があれば「適正」、なければ「適切」を選びます。