この記事では、「陰険」と「陰湿」の違いを分かりやすく説明していきます。
「陰険」とは?
「陰険」は「いんけん」と読みます。
「陰」という漢字は、「かくれたところ」「人に知れないもの」「内にこもって目立たないこと」という意味を含んでいます。
そして「険」は「悪いたくらみがある」といった意味があります。
「陰」と「険」の2文字から構成される「陰険」は「表面はよく見せかけて、心のうちには悪意を抱いているさま」という意味になります。
悪意を持って人に接したり行動(攻撃)したりすることが「陰険」です。
ただし直接的に攻撃するのではありません。
あくまで良い人に見せながら、裏で攻撃するような人のことを「陰険」といいます。
そして「陰険」とは人の性格や行動を表す言葉です。
人間以外のものには使いません。
「陰湿」とは?
「陰湿」は「いんしつ」と読みます。
「陰」の字は前述したとおり、「かくれたところ」「人に知れないもの」「内にこもって目立たないこと」という意味を含んでいます。
そして「湿」は、「しめる」「うるおす」「しめりけ」「うるおい」という意味を持っています。
「陰」と「湿」で構成される「陰湿」とは「陰気で湿っぽいさま」のことをいいます。
「陰湿」とは人でいえば、直接本人を攻撃するのではなく、裏で悪口を言うような人のことです。
ただし「陰湿」という言葉は人間以外のものにも使うことがあります。
「陰険」と「陰湿」の違い
「陰険」と「陰湿」それぞれの用語の違いはお分かりいただけたでしょうか。
「陰険」とは良い人に見せながら、裏で攻撃するような人のことです。
人の性格や行動を表す言葉で、人間以外のものには使いません。
そして「陰湿」とは「陰気で湿っぽいさま」のことです。
陰湿は人間に対しても使いますし、人間以外の土地柄や環境に対しても使うことがあります。
「陰険」と「陰湿」はとてもよく似た言葉です。
ポイントは、人間以外のものに対して使う言葉かどうかです。
「陰険」は人間の性格や行動に対してしか使わない言葉です。
一方「陰湿」という言葉は人間以外のもの(土地柄や環境など)に対しても使うことがあります。
「陰険」の例文
・『どうせ小物ばかり狙う陰険な奴だったのだろう』
・『陰険な敵キャラクターが多数登場する』
・『口調は紳士的で物腰は丁寧だが、性格は陰険』
・『性格は陰険で卑屈で自尊心の塊』
「陰湿」の例文
・『高校では陰湿ないじめが増える傾向にあるという』
・『性格は陰湿で高飛車だが実際は根性無し』
・『その性格及び手段は極めて卑劣かつ陰湿』
・『どことなく陰湿な部屋である』
まとめ
以上が「陰険」と「陰湿」の違いになります。
「陰険」は「良い人に見せながら、裏で攻撃するような人」のことで、人間の性格や行動に対してしか使わない言葉です。
そして「陰湿」とは「陰気で湿っぽいさま」のことで、人間以外のものに対しても使うことがあります。
「陰険」も「陰湿」も微妙なニュアンスは違うもののとても似た言葉です。
人間以外のものに対しても使うことがあるかどうかという所がポイントでした。