この記事では、「飛ぶ鳥跡を濁さず」の意味を分かりやすく説明していきます。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」とは?意味
「飛ぶ鳥跡を濁さず」の読みは「とぶとり、あとをにごさず」です。
文字通りの意味としては、「水鳥が飛び立った痕跡は、水面が濁らず澄んだままだ」と言う意味です。
ここから転じて「立ち去る時は、跡を見苦しくないように始末すべきである」や「引き際はいさぎよくあるべき」を意味することわざなのです。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」の概要
「飛ぶ鳥跡を濁さず」のことわざの元々の意味を理解するポイントは、「飛ぶ鳥」は「飛んでいる鳥」ではなく、「飛び立つ鳥」である点と、その「鳥」が白鷺や青鷺のような「水鳥」である点、そして「跡」は「痕跡」の意味であり、時間的な「後」ではないことが挙げられます。
このポイントを理解すれば、文字通りに意味は良く理解できるでしょう。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」は、現在では広く使われていますが、本来このことわざは、「立つ鳥跡を濁さず」であったとされています。
従って、「飛ぶ鳥跡を濁さず」は間違いであると指摘する人も少なくありません。
「立つ鳥跡を濁さず」と言う表現は、江戸時代初頭の書物に見られ、また編纂時期は不詳とされていますが、同じ江戸時代のその後の書物に「飛ぶ鳥跡を濁さず」の表記が見られます。
すなわち、間違って使われ出したと言っても、江戸時代の話であり、現代になってからの話ではありません。
また現在では辞書にも「飛ぶ鳥跡を濁さず」の記載があり、決して間違いとは言えません。
当初は、間違えて使われた言葉が、広く普及し、いつしか市民権を得ると言うことは、よくあることで、これこそ言葉は生き物であると言われる所以と言えるでしょう。
「飛ぶ鳥跡を濁さず」の言葉の使い方や使われ方
「飛ぶ鳥跡を濁さず」の言葉は、以下の例の様に使われます。
・『転勤の辞令が下りたので、飛ぶ鳥跡を濁さずで、今の職場での仕事をきっちりと整理し、引き継げるように準備を進めています。』
・『あの先輩は、定年退職にあたり、後輩のために修得した技術ノウハウ集をまとめて残してくれました。まさに飛ぶ鳥跡を濁さずのお手本と言えます。』
・『転職を決めた彼は、途中になっている仕事の引継ぎもせずに、さっさと職場を去った。飛ぶ鳥跡を濁さずということわざがあることも知らない、非常識な奴だ。』
「飛ぶ鳥跡を濁さず」の類語や言い換え
「飛ぶ鳥跡を濁さず」と同じ意味のことわざとしては、「立つ鳥跡を濁さず」や「鷺は立ちての跡を濁さず」があります。
また意味を表現する言い換えとしては「去り際を綺麗にする」や「迷惑を掛けないようにして去る」などとすれば良いでしょう。
まとめ
「飛ぶ鳥跡を濁さず」は「立ち去る時は、跡を見苦しくないように始末すべきである」や「引き際はいさぎよくあるべき」と言う意味のことわざです。
このことわざは、元々は「立つ鳥跡を濁さず」であったものが、間違えて使われ、それが広まったものです。
現在ではいずれの表現を使っても、間違いとは言えません。