この記事では、「莫大」と「膨大」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「莫大」と「膨大」の違い
「莫大」とは、許容される限度よりもはなはだしく大きいこと、数がとても大きいことです。
「膨大」には、2つの意味があります。
1つめは、内側から外側に向かって大きくなることです。
もう一つは、内容や数が非常に大きいことです。
どちらの言葉にも、おおきい、多いという意味を持つ漢字の「大」が使用されており、2つの言葉には大きいという意味が含まれています。
しかし、どのように大きいのか、何が大きいのかという点で意味が異なります。
「莫大」には、「莫」という漢字が使用されています。
「莫」は「ない」と読むことができる漢字で、「莫大」には、これより大きなものはないという意味があり、非常に大きなことを意味しています。
数えることができるものや程度についてをいう言葉です。
「膨大」には、ふくらむ、ふくれるという意味を持つ「膨」という漢字が使用されています。
このことからもわかるように、ふくれるほどに大きくなることを意味している言葉です。
内容や数えられるものについていいます。
「莫大」と「膨大」の使い方の違い
どちらも大きいことを指して使用する言葉ですが、何が大きいのかによって使い方が違います。
数や程度が大きいことには「莫大」を使用します。
これ以上大きなものはないという意味で使用されることが多いです。
数や内容が大きいことには「膨大」を使用します。
ふくれるほどに大きなという意味で使用されることが多いです。
「莫大」と「膨大」の英語表記の違い
「莫大」は英語で“enormous”と表現をします。
「膨大」は英語で“huge”と表現をします。
「莫大」の意味
「莫大」とは、許容できる限度を超えるほどに大きいこと、数がとても多いことです。
これ以上大きなことはないといった意味合いです。
東京五輪を開催するための準備に、総額で3兆円ほどかかっているといわれています。
一般市民からすると3兆円は想像できないほどの金額です。
はなはだしいほどの額ということができるでしょう。
非常に能力のある選手を獲得するために、サッカーチームは相当な費用をつぎ込んでいるようです。
選手によっては年俸が数億円にもなります。
数億円という金額は、一般の人には想像できないほど大きな金額です。
そして、他の選手と比べて非常に大きな金額ということができるでしょう。
このようにとても大きなことを意味する言葉です。
金額は数を数えることができ、数えられるものに対して使う言葉です。
SNSに投稿をすると「いいね」をもらえることがあります。
「いいね」の数は投稿した内容によって違い、数千ていどのこともあれば、数十万ということもあります。
数十万もの「いいね」をもらうのは簡単ではありません。
ものすごく多い数ということができるでしょう。
これははなはだしい数であり、数えられるものなので「莫大」ということができます。
「莫大」の使い方
非常に大きなことについて使用をします。
数えられるものや程度に使用することが一般的です。
財産は数えられるものなので使用可能です。
「いいね」の数や人口なども数えられるので、こういったことにも使用できます。
「莫大」を使った例文
・『莫大な費用がかかっているといわれている』
・『その地震によって莫大な被害がでた』
・『莫大な財産を手に入れられるだろう』
・『莫大な資金が必要だ』
「莫大」の類語
「膨大」「甚大」「多大」が類語です。
「甚大」には、程度がはなはだしく大きいさまという意味があります。
被害や損害についていいます。
「多大」には、数や規模がはなはだしく大きいという意味があります。
「莫大」の対義語
「少ない」「小さい」が対義語です。
「膨大」の意味
「膨大」には、2つの意味があります。
1つめは、内側から外側に向かって大きくなることです。
風船に空気を入れると、風船の内側に入った空気に押されて、外側に向かって大きくなっていきます。
たくさん食べると、胃の中に入ってきた食べものによって、お腹が内側から外側に押され、大きくなってきます。
このように大きくなるさまの意味です。
もう一つの意味は、内容や数がはなはだしく大きいさまです。
現在、地球温暖化が問題になっています。
地球温暖化の原因とされているのが、二酸化炭素などの温室効果ガスです。
これまで、人間の活動によって非常に多くの量の温室効果ガスが排出されてきました。
はかりしれない量の排出量です。
温室効果ガスは数値として表すことができます。
つまり、数えられるものです。
このように数えられるものの数が非常に大きなさまを意味する言葉です。
地球温暖化の解決のために注目されているものが、再生可能エネルギーです。
再生可能エネルギーとは、太陽や風の力など自然界の力を利用して作られるエネルギーのことです。
太陽はこれからもまだまだ地球に光を注いでくれることでしょう。
その量は非常に大きなものです。
太陽からのエネルギー量は数値で表すことができます。
数えられるもので非常に大きなことなので、これも「膨大」ということができます。
「膨大」の使い方
数えられるものや内容がはなはだしく大きなことについて使用をします。
ふくれるを意味する漢字の「膨」が使用されているように、ふくれるように大きなことを指しています。
ふくれるとは、内側から外側に向かって大きくなることです。
逆に外側から内側に向かって小さくなるようなことには、「膨大」という言葉は使用しません。
「膨大」を使った例文
・『膨大な天然資源が存在している』
・『セリフの量が膨大で覚えるのが大変だ』
・『膨大な量の情報を処理する』
・『膨大なデータから解析する』
「膨大」の類語
「莫大」「甚大」「多大」が類語です。
「膨大」の対義語
「小さい」「少ない」が対義語です。
まとめ
大きいを意味する2つの言葉ですが、「莫大」はこれ以上ないほど大きい、「膨大」は膨れるほど大きいという意味があり、ややニュアンスが違います。
また、使われ方も違います。