この記事では、「近々」と「喫緊」の違いを分かりやすく説明していきます。
「近々」とは?
「近々」【きんきん】は、近い未来のこと、もうすぐ、という意味です。
音読みの「きんきん」以外に訓読みで「ちかぢか」と言うこともあります。
「近々」は、漢字の「近」と同じ漢字を繰り返す意味の「々」で構成されています。
「近」は距離や時間の隔たりが少ないという意味です。
「々」には、繰り返すことで意味を強調する役割があります。
このことからも「近々」は単に「近い」のではなく、かなり近い、もうすぐ、といった近さを表すことがうかがえます。
「近々」は、すぐ近い未来、近い将来の予定を指して「もうすぐ」「近いうちに」という意味で用いるのが一般的です。
また「きんきん」「ちかぢか」のどちらの読み方でも意味は同じですが、ニュアンスには微妙なニュアンスの違いがあります。
漠然と近い未来を指すときは「きんきん」を使い「もうすぐ」「直に」と言いたい場合には「ちかぢか」を使うと、より近さが具体的に表現できるでしょう。
「近々」の類語には、時間や距離がかなり近いことを示す「直近」【ちょっきん】があります。
どちらも意味はよく似ていますが「直近」のほうが「すぐそば」であることが強調され、「近々」の近さは「直近」に比べると若干抽象的です。
「近々」の例文
・『近々訪問する予定だ』
・『遅れている列車は近々に到着しますので、今しばらくお待ちください』
「喫緊」とは?
「喫緊」【きっきん】とは、重要なことが押し迫っている、急がなければならないほど重要なことです。
「喫緊」は、同じ意味を表す「吃緊」の漢字を「吃」から「喫」に変更したものです。
「吃」【きつ】は受けるという意味を持ち、組み合わせる漢字の意味を強調する役割があります。
同時に「どもる」という意味を持つため、使用にふさわしくない場面では代わりに「喫」【きつ】が当てはめられているのです。
漢字の「緊」が差し迫るさまを意味することからも、「喫緊」は急がなければならないほど差し迫っている様子を表していることがうかがえます。
「喫緊」という言葉は日常で用いることは少なく、政治関連の報道発表などで目にするようになった言葉です。
一般には、一刻も早く対応しなければならない重要な課題、緊急事態に対するコメントで用いられています。
「喫緊」の例文
・『急増する貧困の撲滅は喫緊の課題である』
・『国に対し喫緊の対応を求める』
「近々」と「喫緊」の違い
「近々」と「喫緊」の違いを、分かりやすく解説します。
ひとことで言うと、両者では緊急性の有無が異なります。
「近々」は、近い未来やすぐ先にある予定を指す時に使う言葉です。
「もうすぐ」「近いうちに」と言い換えることができます。
対して「喫緊」は緊急性を要し、重要な課題を抱えており、急いで対応しなければならないことを表しています。
「喫緊」は主に政治の場で使われる言葉です。
日常会話やビジネスシーンで使うと大げさになるので、急ぎ方に合わせ「近々」「緊急」「至急」と言い換えるのが適切でしょう。
まとめ
「近々」と「喫緊」は、言葉の持つニュアンスが大きく異なります。
「喫緊」は政治関連の報道発表で多用されますが、日常ではあまり使うことのない言葉です。
正しい意味を知って適切な使い分けをしていきましょう。