この記事では、「野生」と「野性」の違いを分かりやすく説明していきます。
「野生」とは?
「野生」【やせい】とは、人に管理されず自然な状態で生存していること、またはそのような動物や植物のことです。
「野生」に使われている漢字の意味を見てみると、「野」は天然のまま、ひらけていないことを、「生」ははえている、生きていることを表しています。
このことから熟語の「野生」は、手つかずの状態で生きている様子を指していることがうかがえます。
一般に「野生」と称されるのは、自然界に存在する動植物などです。
野山に自生している植物、人が飼育や養殖をしたものではない動物などが「野生」にあたります。
また、管理される側にありながら実際にはあまり管理されず、ありのままに生きている状況も「野生」と呼ばれます。
この場合の「野生」は、世話や教育が行き届いていない人に対して使われることが多いです。
「野生」の類語には「自然」「天然」などがあります。
どれも手つかずのままという意味を持つところが共通しています。
「野生」の例文
・『山にはクマやタヌキなどの野生動物がいる』
・『野生の草花には、庭で育てた草花にない趣がある』
・『あの人は作法知らずで、どこか野生な感じがする』
「野性」とは?
「野性」【やせい】とは、本能のままの性質、または振る舞いが洗練されておらず荒々しいことです。
漢字の「性」には、特徴や傾向、生まれ持ったたちという意味があります。
「野」は手つかず、自然のままという意味を表すほか、荒々しく洗練されていないという意味を持つことから、「野性」は自然のままで洗練されていない状態を表してす。
そこには、あら削り、力強いといったニュアンスも含まれます。
「野性」は主に、動物の本能や生態が強く表れている状態を指します。
人に対しても、荒々しく動物的な素行に対して使われ、そのようなさまを「野性的」と表現する ことも多いです。
「野性」の類語には「無骨」「ワイルド」「野趣あふれる」などがあります。
「ワイルド」は「野生」の英訳“wild”と同じものですが、「男らしい」「野趣あふれる」というニュアンスで使われる場面が多いです。
「野性」の例文
・『野性の本能をむき出しにして人を襲う』
・『彼の絵は力強いタッチで描かれ、野性味にあふれているところが特徴だ』
・『そのワインは野性的な味わいがする』
「野生」と「野性」の違い
「野生」と「野性」の違いを、分かりやすく解説します。
「野生」は自然、天然のまま存在していること、「野性」は自然のまま、本能のままの性質のことです。
これらは同音異語で、共に自然のまま、手入れされず原始的な状態を表すところが共通しています。
違いは、「野性」が主に管理されないため天然な状態で存在している事実を表すのに対し、「野性」は管理されているかどうかに関係なく、取りつくろうことなく荒々しい様子を指しているところです。
「野生」と「野性」は互いに類語の関係になり、よく似た意味を持ちます。
「野性」はどちらかというと洗練されておらず野蛮な様子を指す時に使われることも多いのですが「野生」はそのような使われ方はされません。
まとめ
「野生」と「野性」はとてもよく似ている印象があります。
互いに類語の関係にあるので、書き換えて意味が通じることもあります。
ただし、定義や使い方は少し異なっているので、それぞれの意味を正しく知り、適切な使い分けをしていくことが大切です。