この記事では、「事象」と「事例」の違いを分かりやすく説明していきます。
「事象」とは?
「事象(じしょう)」とは、「現実世界で一定の条件のもとで発生するすべての出来事」を意味しています。
「事象」というのは、「ある条件や原因から生起する物事全般・現象全般」を意味している言葉です。
さらに「事象」は、「数学の確率分野における、繰り返し行う試行の結果として起こる現象」といった意味も持っています。
「事象」は実際の用法では、「現象(げんしょう)」とほぼ同じ意味を持つ類語として使うことができます。
ただし、「事象」は「現象」よりも「ある特定の条件・原因と相関している出来事」という意味のニュアンスが強くなっています。
「現象」の言葉は、「自然現象・社会現象のように、人が視覚・情報で知覚することができる物事」のニュアンスが強くなっているのです。
「事例」とは?
「事例(じれい)」とは、「ある事件・物事について、実際に起きたことがある個別の例」を意味しています。
「事例」という言葉は、「前提となる特定の条件や特徴に当てはまる物事の具体的な例」を示唆しているのです。
「事例」は実際の用法では、「実例・前例」とほとんど同じような意味を持つ類語として使用することができます。
ただし、「実例」は「事例」よりも「実際に現実の世界・社会で起きた具体的な例」という意味のニュアンスが強くなります。
「事例」は「過去に起きたことがある具体的な例である前例」も含みますが、「事例」は「前例だけではなく前提条件に合致している例・特徴が似ている例」もあります。
「事象」と「事例」の違い
「事象」と「事例」の違いを、分かりやすく解説します。
「事象」は「ある事情を前提に起こるすべての現象・数学の確率で使う用語」を意味していて、「事例」のような「個別的な例」の意味は持っていません。
「事例」という言葉は、「殺人事件の事例・防犯対策の事例」のように「ある物事に関連する具体的な実際の例」を示しています。
しかし、「殺人事件の事象・防犯対策の事象」という言い方はできないわけではありませんが、不自然な語感になり意味も不鮮明になる違いがあります。
「事象」の例文
・『地震という事象の根本原因はプレートテクトニクスで説明されていますが、実際には地震発生に関連する要因は膨大な数になります。』
・『人間社会で起こる事象のすべてを認識することは不可能なので、ノイズとなる価値の低い情報は切り捨てるべきです。』
「事例」の例文
・『猟奇的な殺人事件の事例をリサーチしてみると、幼少期の虐待被害とかなりの相関が見られます。』
・『マーケティングを成功に導くためには、実際に成功した事例を集めた上でケーススタディーを行うべきです。』
まとめ
この記事では、「事象」と「事例」の違いを詳しく説明しましたが、いかがでしたか。
「事象」とは「リアルの世界である前提条件のもとで生起するあらゆる出来事・現象」を意味していて、「事例」は「特定の条件・事情に合致する具体的な前例」を意味しています。
「事象」と「事例」の意味や違い、例文を知りたい人は、この記事の解説をチェックしてみてください。