「フーテン」
フーテンという言葉を知っているでしょうか。
もともとは瘋癲という感じが使われていましたが、最近ではカタカナで描かれることも多くあります。
日本語の俗語であり、1960年代後半から使われるようになった表現だと言えるでしょう。
ここではこのフーテンという表現について紹介します。
「フーテン」の意味
フーテンとは、定まった仕事や住所を持っていない人のことを指します。
最初は瘋癲と書かれており、もともとは精神疾患を持っている人を探していたのです。
風来坊、風太郎、などという言葉が使われるようになり、1960年代には新宿のヒッピーの若者たちをフーテン族と呼ぶようになりました。
しかしこれには頭がいかれている、狂っている、などという意味合いが込められており、批判的なニュアンスがあったのです。
しかし、今度は1968年にテレビドラマ、「男はつらいよ」が始まり、主人公の車寅次郎が「フーテンの寅さん」として登場したことから、悪いニュアンスがなくなっていきました。
どちらかというと自由気ままで心持ちの優しい寅さんのイメージがフーテンという言葉になったと考えられています。
「フーテン」の言葉の使い方
フーテンという言葉はもともとは批判的な意味合いを含んでいましたが、最近では寅さんのイメージが強く、あまり悪いイメージがありません。
本来のフーテンは定食を持たずに無職のまま、ぶらぶら遊んでいる人を指していましたが、「男はつらいよ」の虎さんには定職があり、忙しい時期にはその事業に戻り、映画が終わるときにまた旅立っていくのです。
そのため、この寅さんのイメージからフーテンという言葉には必ずしも悪い意味で仕事も学業もしていないという意味ではなく、自由に生きているというイメージがあります。
それが影響し、最近では悪い意味で使われる事はあまりありません。
「フーテン」を使った例文・短文(解釈)
それならば実際にフーテンという表現はどのような文脈で使われるのでしょうか。
ここではフーテンという言葉を使った例文をいくつか紹介します。
「フーテン」の例文1
「フーテンの寅さんが流行して、多くの人がこの映画を見るようになったんだよね」
「男はつらいよ」の寅さんは多くの人に人気があります。
車寅次郎を演じている俳優さんは、実際はとてもおとなしくて物静かな人だったと言われています。
しかしこの寅さんのイメージが強く、実際にこのような性格だったのではないかとさえ噂されたほどでした。
「男はつらいよ」の時代に育った人ではなくても、この映画のファンであるという人は多いのではないでしょうか。
「フーテン」の例文2
「あそこのドラ息子はいつまでたってもフーテンだよ」
もしも近所に仕事も勉強もせずに遊び歩いているような人がいたら、このように言われているかもしれません。
いわゆるパラサイトのような感じで親元で生活していたり、ニートやリーダーのような感じで生活をしていたりすると、フーテンと言われることもあるかもしれませんね。
「フーテン」の例文3
「新宿で生活していたフーテン族は、長い髪にラッパズボン、サングラスといった服装が特徴的だったんだよ」
1967年夏、新宿東口に若者集団が集まるようになりました。
彼らは仕事も勉強もしておらず、長髪にラッパズボン、変わったデザインのサングラスといった特徴的な服装をしていたのです。
最初はこのような集団フーテン族と呼ばれていました。
今のヒッピーのような感覚だったといえます。
「フーテン」の例文4
「フーテンには精神的な疾患を持つ人という意味もあるんだ この言葉の使い方には気をつけたほうがいい」
もともとフーテンという言葉には精神疾患を持つ人という意味合いもありました。
精神のバランスを失っている人、理性がない人、などという意味を持っていたのです。
最近ではそのような意味はなくなり、無職の人、といった意味合いが強くなっています。