警察のご厄介になった際に、「送検」と「送致」と言った刑事手続きが取られることになります。
二つとも何かを送る点では共通していますが、その違いや内容を正確に覚えている方は珍しいかもしれません。
この記事では、「送検」と「送致」の違いを分かりやすく説明していきます。
「送検」とは?
「送検」は警察が捜査していた事件を、検察に引き継ぐための手続きです。
まず、警察は本当に容疑者が犯罪を行っていたのかを調べて、どうもそうらしいと判断し、さらに裁判が必要だと判断したら、検察に事件を引き渡すのです。
検察は引き継いだ事件を調べ、立件するかどうか決めます。
この時に身柄を引き渡すのが「身柄送検」で、書類だけの場合は「書類送検」となるわけです。
なお、実際には「送検」と言うのはマスコミが勝手に作った言葉になっています。
法律上は「検察官送致」と呼ぶのが正解です。
「送致」とは?
「送致」は、刑事手続法で定められた「検察官送致」のことです。
警察で取り調べていた事件を、検察に渡す手続きのことです。
「送致」には二種類あります。
犯人の身柄を引き渡すタイプと、そうではないタイプです。
後者の方は調査書類や証拠を送致するもので、メディアでは「身柄送検」と称しています。
「送検」と「送致」の違い
「送検」と「送致」の違いを、分かりやすく解説します。
実は、この両者は意味が全く同じ、同義語なのです。
いずれも刑事訴訟法246条に規定された「検察官送致」のことを指しています。
両者の違いとしては法律関係者や警察が使うのが「送致」で、マスコミが使う表現が「送検」です。
つまり、意味は同じですが、職業柄、別々の呼び方が使われています。
それではなぜ、このように二つの言葉に別れたのかですが、明確な理由はわかりません。
しかし、おそらくですが放送する上で、「送致」よりも「送検」とした方が、意味が伝わりやすいと判断したのではないでしょうか。
一般的な視聴者は「送致」だけでは、具体的にどのような手続きが行われたのか、わかりにくいと予想します。
身柄の移送と混同する恐れもあるでしょう。
そこで「身柄が検察官に送致された」と表現するわけですが、これだと説明がくどくなります。
そこで、「送検」とすると表現がコンパクトになり、かつ、「検察に送る」と言うイメージがしやすいはずです。
このため、逮捕された容疑者がいよいよ立件される大事な場面を、「送検された」と表現することで、より正確にわかりやすく、視聴者に状況を伝えたかったのではないでしょうか。
まとめ
「送検」と「送致」の違いを見てきました。
実は意味は同じで、前者はメディアが使い、後者は警察関係で使われやすいと言う部分だけが違いです。
どちらも間違いではありませんが、一般社会ではメディアの影響から「送検」とした方が意味が通じやすいでしょう。
実際、弁護士のサイトなどでも「送検」を使っているケースが多くなっています。