この記事では、「現状」と「原状」の違いを分かりやすく説明していきます。
「現状」とは?
現在の状態という意味があります。
「現」は実際の、いまの、「状」はようす、ありさまという意味を持つ漢字です。
現在とは、今のことです。
時間的に前や後のことではありません。
つまり、「現状」とは過去の状態や、これからどうなるのか予想される状態のことではないのです。
漫画が大好きで、部屋には大量の漫画がある人がいたとします。
あまりにも大量にあるため、足の踏み場がありません。
床が抜けてしまうのではないかという心配もあります。
そこで、漫画を少し整理しようと考えました。
しかし、なかなか整理が進まず、部屋にある漫画の数が減りません。
漫画を整理したいと考えていても、実際には整理できていないのが今の状態です。
「整理したくてもできていないのが現状」ということができます。
「現状」の使い方
今の状態という意味で使用をします。
過去にどうだったか、これからどうしたいのか、といったことを指しては使用しません。
「原状」とは?
はじめにあった状態という意味があります。
「原」という漢字には、おおもと、はじめという意味があります。
日本では、借りているアパートを去るとき、入居したような状態に戻すこととされています。
日光が当たって壁紙が変色するなど、自然に起こってしまうものは別ですが、飲み物をこぼしてできたシミ、タバコによる黄ばみなど、入居者側に問題があってできた破損や汚れなどは、もとの状態に戻す必要があります。
入居した当初の状態がもとの状態です。
そのもとの状態を指して「原状」といいます。
きれいに盛り付けられているスイーツがあります。
きれいな状態を撮影したかったのですが、撮影する前にスプーンを容器に入れて形が崩れてしまいました。
何とか元のきれいな状態にしたいです。
最初にあった状態が「原状」です。
スプーンを入れて形が崩れた状態から、最初にあった状態にすることを「原状回復」といいます。
「原状」の使い方
はじめにあった状態を指して使用をします。
はじめにあった状態がどういったものかわからないときには、この言葉はあまり使用しません。
「現状」と「原状」の違い
どちらの言葉も「げんじょう」と読みは同じですが、意味は違います。
前者の言葉は、現在の状態を意味しています。
後者の言葉は、はじめにあった状態を意味しています。
現在のことなのか、はじめのことなのか、という点に違いがあります。
「現状」の例文
・『現状を知る』
・『現状を説明する』
・『現状を維持し続ける』
・『現状を知って欲しい』
「原状」の例文
・『原状に戻すように努める』
・『原状回復の義務がある』
・『何とか原状回復できるといいです』
・『原状回復させるには費用がかかる』
まとめ
「げんじょう」と読みが同じ2つの言葉ですが、一方は今の状態、もう一方ははじめの状態を意味しており、それぞれの言葉の意味は異なります。