哲学の勉強をしていると、よく似た専門用語がわからず困ってしまうことがあります。
この記事では、「悟性」と「理性」の違いを分かりやすく説明していきます。
語句の違いを知って自信をつけていきましょう。
「悟性」とは?
悟性(ごせい)とは、対象を理解する力のこと。
近代哲学の草分け的な存在でもある、イマヌエル・カントが論じていた哲学論です。
1700年代に活躍したカントは、私たちが普段どのように世界を見ているのか常に考えていました。
その時に生み出したのが、悟性と感性と理性です。
この3つが上手く絡み合っているからこそ、私たちは色々なことを体験できると説いていたのです。
カントによると悟性とは、物事を片づける能力のこと。
感性で抱いた感覚を、悟性のパワーで整理していきます。
ただ感じるだけではなく、今までの経験に基づいて処理していくのが悟性のすごい所です。
数百年たった今でもカントの唱えた悟性は、心のメカニズムを解明するうえで欠かせないものになっています。
「理性」とは?
理性(りせい)とは正しいのか間違っているのか、正しく判断する力のこと。
こちらもカントの哲学論に出てくる、重要なキーワードのひとつです。
もともと理性は、古代ギリシャで使われていた言葉。
誰もがみな持っている、論理的な力のことです。
カントは人間の心の動きを研究して、心の働きには悟性と感性、理性があると信じていました。
理性というのは、感性と悟性の後につづく能力のこと。
ターゲットから少し離れて、客観的に物事を推察していく力だと訴えていました。
カントより少し前の時代に生まれた、ルネ・デカルトは理性主義というものを唱えています。
「理性によってのみ、我々は人間となる」というのはデカルトの有名な言葉のひとつ。
理性があるからこそ、道義的に正しい行いができると説いているのです。
「悟性」と「理性」の違い
「悟性」と「理性」は哲学論や倫理学で、よくお目にかかる言葉です。
「悟性」と「理性」の違いを、分かりやすく解説します。
・悟性が最初、理性は後
カントの唱えた「悟性」と「理性」は、専門家によっても解釈が少しずつ異なってきています。
ただカントは感性と悟性があってその先に理性があると考えていたので、順序としては悟性が最初で理性は後になります。
心のはたらきを考える上で、この考え方はとても大切です。
また悟性は判断や、理解をつかさどる能力のこと。
たとえば目の前にリンゴがあったら、どんな色をしているのか、どこの産地のものか。
色々な情報をまとめて考えていきます。
この作業が悟性です。
そして道理にしたがって、最終的に結論をくだすのが理性です。
まとめ
「悟性」と「理性」の違いを、あらためてお伝えしました。
どちらもカント哲学の肝といえるくらい、重要な言葉です。
悟性は情報を整理する能力のこと、理性は正当性を判断していくことです。
少し難しく思える哲学語ですが、私たちの心のあり方をよく言い表している言葉。
丁寧に学習していきましょう。