新発売された食品の宣伝文句などでよく見かける言葉に「新感覚」があります。
なにか新しいのだろうなという想像はできますが具体的にはどのような意味で使われているのでしょうか。
今回は、「新感覚」の意味について解説します。
「新感覚」とは?意味
「新感覚」とは「今までにはなかった新しい感覚を覚えること」と言う意味の言葉です。
「新感覚」の概要
「新感覚」と言う言葉はもともと大正時代の文学の一派を指す「新感覚派」から広まりました。
これまでの文壇にはなかった奇抜な発想や表現を多用する若手作家達によって構成された新感覚派は時代をリードする存在として注目を集めました。
後にノーベル賞を受賞する川端康成を始め横光利一や吉行エイスケなど当時を代表する新進気鋭の人気作家の集団を新感覚派と名づけたのは評論家でジャーナリストとして活躍していた千葉亀雄です。
新感覚派の人気により定着した「新感覚」と言う表現ですが、再び注目されるようになったのは高度経済成長期を過ぎたバブル前の時代です。
当時の若者を指す表現として流行語になった言葉に「新人類」があります。
学者で評論家としても活躍していた栗本慎一郎によって作られた「新人類」はこれまでの日本人的感覚では理解し難い全く新しい感性を持つ若者を表現する言葉としてマスメディアで広く使われました。
肯定的にも否定的にも使われた「新人類」表現ですが、その若者たちが持っていた感性や感覚こそがもともとの意味の「新感覚」に当たります。
そもそもの「新感覚」は「従来的な考えや感性に縛られない全く新しい感覚」を意味する言葉でした。
時代とともに少しずつ意味が転じるようになり、現在では「これまでにない新しい感覚、そのような感覚を覚えること」と言う意味で広く使われています。
一般的には「目新しい」「未来的」など肯定的な意味で使われることが多い表現ですが「理解し難い」「奇をてらっている」といったような否定的な意味合いでも使われます。
「新しい」をどう評価するかによって言葉の意味は大きく異なります。
「新感覚」の言葉の使い方や使われ方
・ラーメンとスイーツをひとつにした新感覚のファーストフードチェーが開店した。
・構図や被写体にこだわらない新感覚の写真芸術。
・手も足も使わない神格化区のゲームコントローラー。
・ネットの発展によって誕生したボカロ音楽は新感覚の音楽文化と呼ぶにふさわしい。
「新感覚」の類語や言いかえ
・新機軸
「今までとは違った新しい工夫や方法」を表すこの言葉は、過去に見られなかったものを提供するという点に「新感覚」との共通点が見られます。
「新感覚」よりも具体的なやり方やアイデアを指す言葉なので価値観や感じ方など漠然としたものには使われません。
・型破り
スタンダードなやり方や定石を意味する「型」を「破る」事を意味する「型破り」は新しさや斬新という点が「新感覚」と類似しています。
行き詰まった状況を打破するというニュアンスが強いので革新的でチャレンジしている様子を指す際にふさわしい表現です。
まとめ
とてもシンプルな印象を受ける「新感覚」と言う表現ですがよく考えてみると非常に深い意味のある表現だとわかります。
多様な意味で使われる言葉なのでどのような文脈で使われているのかに注目すると理解がはかどります。