集まった大勢の人々を指す言葉として「観衆」と「聴衆」があります。
どちらも普段耳にすることがある馴染み深い言葉ですがこの2つはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「観衆」と「聴衆」それぞれの意味と違いについて解説します。
「観衆」とは?
「観衆」とは「興行や催し物などを観るために集まった大勢の観客」という意味で使われる言葉です。
「観衆」という言葉は対象を「観る」ために集まったことが強調されています。
興行や催し物など人々にみせるために開催されること以外にも有名人や著名人を一目観たいと集まった人々など何かを観るために多くの人が集まっていれば「観衆」に該当します。
「観衆」という言葉は対価の有無を問わず使用されます。
優良で開催される公演や催し物だけでなく駅を利用する有名人を観るために集まる、事件や事故を観に集まるといったケースでも人が大勢集まり観ていれば「観衆」が適当な表現です。
「観衆」の使い方
・大道芸を目当てに多くの観衆が集まった。
・素晴らしいパフォーマンスを取り囲んだ観衆が息を飲んで見つめる。
・満足した多くの観衆が投げ銭を投げ入れた。
・大騒ぎした一部の観衆が警察によって連行された。
「聴衆」とは?
「聴衆」とは「音楽演奏や演説などを効くために集まった大勢の観客」という意味の言葉です。
「聴衆」の「聴」が音を聴くという意味であることからも明らかなように音楽や演説など何かの音を「聴く」ために集まっていることが強調されています。
集まりの目的は音楽や声を聴くことなので見えるかどうかは必ずしも重要ではありません。
その集まりの目的が何かを聴かせることである、もしくは観客が聴くことを目当てに集まっている場合は場合は集まった観客のことを「聴衆」と表現します。
「聴衆」の使い方
・立会演説会には大勢の聴衆が集まった。
・素晴らしい演奏に聴衆が魅了される。
・講演会に集まった聴衆は参加者の意見に真摯に耳を傾けた。
・聴衆の惜しみない拍手によりアンコールの曲が演奏された。
「観衆」と「聴衆」の違い
「観衆」と「聴衆」の違いは「観る」か「聴く」か目的によって区別されます。
そこに集まった人々の主目的が興行や催し物などを「観る」ことである場合は「観衆」となります。
演奏や説話などを「聴く」ために集まっていれば「聴衆」がふさわしい表現です。
無声映画など聴く要素がないものの場合は「観衆」しか使えません。
街頭ラジオなど音声のみで観ることが全く目的とされない場合は「聴衆」のみが用いられます。
歌とお芝居で楽しませるミュージカルなど観ることも聴くことも等しく重要な演目もありますがその場合は見ることが重視され「観衆」と表されることが多いですが厳密な決まりはありません。
まとめ
「観衆」と「聴衆」は似たような意味を持ちますが明確な違いがあります。
何のための集まりなのかを考えれば「観衆」と「聴衆」のどちらがふさわしい表現なのか簡単にわかります。
誤解を招かないよう正しく使い分けてください。