同じ漢字でも読み方によって、全く意味が変わってくる言葉もあります。
この記事では、「表する」と「表す」の違いを分かりやすく説明していきます。
正しい日本語の語彙をレッスンしていきましょう。
「表する」とは?
表する(ひょうする)とは、心の中で思っていたことを外にあらわすこと。
主に相手に対して、尊敬や感謝の意を伝えたいときに用いる言葉です。
とても礼儀正しい言葉のひとつです。
「表」という字には、褒めるというニュアンスも混じっています。
つまり誰かを称えたい、褒めたいシーンに用いるのが「表する」なのです。
文句を言いたくなるような嫌いな相手には、決して使わない言葉なので覚えておくと良いでしょう。
さらにセットで学びたいのが「敬意を表する」という言い回しです。
敬意を表するは、崇めるや尊敬する、重んじるなどの意味でつかわれます。
友達同士などのカジュアルな場では用いず、恩師やお世話になった方、目上の人などに用います。
敬意を表するのほかにも、追悼の意を表する、祝意を表するといった使い方をします。
丁寧な用い方が多い言葉です。
「表す」とは?
表す(あらわす)とは、自分の気持ちや考えを表現すること。
心に感じていたことを、外に出す作業のことです。
「表す」のよく似た言葉に「現す」があります。
自分の内面を外に押し出すイメージなのが「表す」。
それに対して「現す」は、物体や人がリアルに出現するという意味でつかわれます。
思想や感情などを伝えるのが「表す」なので、文章に表す・音楽に表す・スケッチに表すといった使い方をします。
心の内面を伝える方法が「表す」なのです。
喜怒哀楽などの気持ちは、抑えようと思っていても我慢できないことがあります。
積もった気持ちが、自然とあらわれてくるのも「表す」です。
怒りの感情を表す、悲しみの気持ちを表す、よろこびを表すなどと用います。
私たちの気持ちと、常にリンクしている言葉です。
「表する」と「表す」の違い
同じ「表」という漢字が使われているので、使い分けに苦慮することもあります。
「表する」と「表す」の違いを、分かりやすく解説します。
・他人に対しては表する、自分の気持ちは表す
どちらも自分の内面を、外に映し出した言葉です。
「表する」はとても丁寧な言い回しで、自分以外の人を称えたいときに用います。
尊敬している人や組織につかう言葉です。
それに比べて「表す」は、自分の気持ちを表現したいときに使用します。
心の矢印が自分以外に向いているときは表する。
自分自身に向いているときは表すです。
まとめ
「表する」と「表す」の違いを分かりやすくお伝えしました。
敬意を表するや哀悼の意を表するなど、誰かを称えたい時の用語が「表する」。
表するは「ひょうする」と読みます。
対して自分の気持ちを表現する時の語句が「表す」。
表すは「あらわす」と読みます。
見た目はとても似ていますが、意味は異なってくるので理解しておきましょう。