この記事では、「遺恨」と「禍根」の違いを分かりやすく説明していきます。
「遺恨」とは?
忘れることなどできない、忘れがたい深い恨みを意味する「遺恨」。
恨みを遺すと書くことからも意味がわかる言葉です。
一般的に「のこす」という漢字は「残す」が用いられますが、この「遺す」を使用することで、簡単には取りに戻ることができないといったニュアンスになります。
また、「遺恨」には、残念に思うといった意味もあります。
「遺恨」を別の言葉で言い換えると、「宿怨」や「恨み」、「憎しみ」、「怨恨」、「憎悪」などとなります。
「遺恨」の使い方
「遺恨」を用いた表現方法には、「遺恨を晴らす」や「遺恨を遺す」、「遺恨がある」などがあり、また、「遺恨試合」といった言葉があります。
「禍根」とは?
わざわいが起こるもとや原因を意味する「禍根」。
災いそのものではなく、災いに繋がった事柄、原因そのものを意味する言葉となります。
「禍根」の「禍」には、災いといった意味があり、禍の根と書き「禍根」となります。
そこからも、「禍根」には、災いの根っこといった意味があることがわかります。
「禍根」を別の言葉で言い換えると、「災いのもと」、「災いの原因」、「火種」などとなります。
「禍根」の使い方
「禍根」を用いた表現方法には、「禍根を残す」や「禍根を残さない」、「禍根を断つ」などがあります。
「遺恨」と「禍根」の違い
「遺恨」は、根深い恨み、後悔が残っていることを意味し、「禍根」は、災いの原因、大本を意味する言葉となり、両者には全く異なった意味があります。
そのため、「遺恨」は晴らすものであって、「禍根」は、断つものとなります。
「遺恨」の場合、忘れることができない憎しみを晴らすことができ、「禍根」の場合、災いの原因を断つことができるものとなります。
「遺恨」の例文
・『私は、この家に嫁に来て30年。姑に対し、やっと、遺恨を晴らすことができました。』
・『私は入社したての頃、部長から不当な扱いを受けたことが今でも遺恨です。』
・『今回の試合で結果を残すことができなかったことがとても遺恨です。』
・『これで、遺恨を晴らすため、仲良く握手でもしましょう。』
「禍根」の例文
・『このまま帰っては、禍根を残すことになってしまいます』
・『学生時代に生じた禍根というものは、年を重ねることで消えてしまうものです。』
・『どれだけ些細なことでも、一度、こじれてしまうと禍根となってしまうことがあります。』
・『喧嘩したまま、禍根が残って別れると一生後悔することになると思います。』
まとめ
「遺恨」と「禍根」の違いで忘れてはいけないのが、「こん」という漢字の違いです。
「遺恨」の「恨」は「りっしんべん」。
「禍根」の「根」は、「しめすへん」です。
意味の違いを考えると、どちらの漢字を用いた言葉なのかということもわかりやすくなり、「遺恨」と「禍根」の使い間違いを防ぐことが可能になります。