近年は土砂災害が発生したとのニュースをよく耳にしますが、その時には「地滑り」や「土石流」などの言葉が使われます。
両者の違いは何となくイメージできそうですが、確実に説明するのは難しいかも知れません。
そこで、この記事では、「地滑り」と「土石流」の違いを分かりやすく説明していきます。
「地滑り」とは?
「地滑り」は土砂災害の一種で、山などの斜面が広範囲にわたり、ズルリと滑り落ちる現象です。
比較的低速で進行するのが特徴で、ゆっくりと、しかし断続的に地表が滑り落ちていきます。
スピードは緩慢で、年間数十メートルづつ移動し、最終的に崩れ落ちるようなケースも珍しくありません。
ただし油断は禁物で、地震などが影響した時は、ハイスピードでなだれ落ちる「高速地滑り」が生じることもあります。
原因は地下水の上昇などが考えられ、一定の地質・地質構造のエリアにおいて発生確率が高め。
地表が塊となって滑落していくため、最終的には大きな被害を生じるケースが多いです。
「土石流」とは?
河川や、山間部の谷状になっている部分で起こりやすい、土砂災害の一種とされます。
大量の土砂を含んだ水が、川や谷を高速で流れ落ちる現象で、毎年のように死者が発生している危険な災害の一つです。
メカニズムはシンプルと言えます。
降雨のたびに水と一緒に土砂やがれきも運ばれており、これが川や雨水の通り道に堆積してしまうのです。
この溜まりに溜まった土砂やがれきの塊が、大雨をきっかけに崩壊し、一気に流れ落ちてきます。
20度を超える勾配がある場所で好発し、大岩石や大木も流れ落ちてくるため、甚大な被害が生じかねません。
「地滑り」と「土石流」の違い
「地滑り」と「土石流」の違いを、分かりやすく解説します。
まず「地滑り」は地下水の作用によって地表部分が滑り落ちるのに対して、「土石流」は雨で運ばれてきた土砂や瓦礫が地表を流れてくる現象です。
また、進行速度や規模も違います。
前者は広範囲の地面が塊となって、ゆっくりと滑り落ちるのが特徴です。
対して後者は高速で、しばしば傾斜の上から下にかけて扇状に被害が生じます。
原因も異なり、「地滑り」は地下水位が関係しますので、大雨はもちろんですが雪解け水や、ダムの建設が原因となったこともありました。
対して「土石流」の場合は、一般的に大雨の時に発生しやすいと言われます。
このため、対策も違っており、「地滑り」では地下水を除去したり、地表水がしみ込むのを防ぐのが一般的。
「土石流」では、砂防ダムを設けて土砂の流出を防ぎ、たまった瓦礫を定期的に取り除いています。
まとめ
「地滑り」と「土石流」の違いをまとめてきました。
どちらも山津波と呼ばれて混同されるケースが珍しくありませんが、明確に区別できる現象です。
両者の違いがわかると、ニュースを見る時に役立つのはもちろん、土地や家を買う時の参考にもなりますので、ぜひ、覚えておくのがおすすめできます。