この記事では、「抑圧」と「抑制」の違いを分かりやすく説明していきます。
「抑圧」とは?
無理矢理おさえつけようとすることを意味する「抑圧」。
自分自身を守るために無意識のうちに不快なことや辛いこと、そのような記憶や感情を押し込め意識しないようにすることを意味する言葉です。
いわば、自分を守るための防御本能が「抑圧」です。
「抑圧」には、「圧」を用いた類語が多く、「圧力」や「威圧」、「弾圧」、「圧迫」、「圧制」、「強圧」などがあります。
また、対義語は、ある事柄を良いこととして相手に強く勧めることを意味する「奨励」です。
「抑圧」の使い方
「抑圧」の場合、「抑圧する」や「抑圧される」といった表現方法のほか、「抑圧的」や「異端の抑圧」、「抑圧した空気感」などといった言葉があります。
「抑制」とは?
抑え込むといった意味がある「抑制」。
「抑制」の場合、自分自身が抱いている感情や衝動、思考、などにおいて、自分自身の意識的な努力により抑え込むことを意味する言葉です。
そのため、「抑制」の場合、意識が働くうえで、自分自身で考え行うこととなるため、何をどのように「抑制」したのかなどといった記憶も残っています。
また、自分の意識で我慢することとなるため、その際に掛かるストレスもあります。
「抑制」には、「制」を用いた類語が多く、「制限」や「自制」、「規制」、「制約」などがあります。
そのほか、「コントロール」や「セーブ」なども「抑制」の類語になります。
「抑制」の使い方
「抑制」の場合、「抑制する」、「抑制される」といった表現方法のほか、「抑制因子」や「抑制性結合」、「物価の抑制」、「法的な抑制」などといった言葉があります。
「抑圧」と「抑制」の違い
自分自身の自覚や意識の有無において意味が異なる「抑圧」と「抑制」。
「抑圧」は、自分自身を守るため無意識に嫌なことや辛いことを抑え込むことを意味するのに対し、「抑制」は、自分自身の意識の上で、何かを行いたいなどといった衝動や感情の爆発などを抑え込むことを意味するものとなります。
この無意識的か意識的かによって意味が大きく異なります。
「抑圧」の例文
・『言論の自由を抑圧することだけは、してはならない。』
・『子供の頃から抑圧してきた感情が父の死をきっかけに一気に爆発しました。』
・『私はつらい経験を抑圧することで、何とか平常心で暮らすことができています。』
・『様々な患者さんを診てきた中、抑圧で多い例が心因性の記憶喪失です。』
「抑制」の例文
・『不景気が続く中、金利の上昇を抑制する動きがあります。』
・『物価の上昇の抑制を何とか行って頂きたい。』
・『肥満を抑制する良い方法はないものだろうかと切に願う。』
・『欲望を抑制することは、そう簡単なことではありません。』
まとめ
同じ自分の感情などを抑え込む行為であっても、そこに意識があるのか、無意識なのか、といった違いがある「抑圧」と「抑制」。
その点の違いを考慮し使い分ける必要があります。