悪辣な行為を指す言葉として「強奪」と「略奪」があります。
このふたつはどちらも似たような意味で使われますが具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「強奪」と「略奪」の違いについて解説します。
「強奪」とは?
「強奪」とは「他人の所有物を強引に奪い取る行為」を指す言葉です。
「相手の同意な地に無理やり力づくで奪い取る行為」が略奪であり、ほとんどの法治国家において犯罪とされ刑事罰の対象になります。
日本では「強盗」「窃盗」名度法律上の正式な名称ではありませんが、力づくで人のものを盗み取る行為を総称して「強奪」と呼んでいます。
対象になるのは金銭や物品などの他に土地や建物など所有権が認められるもの全てです。
一般的には暴力や恐怖など安全に関わる力を持って奪い取る行為を指しますが、金に物を言わせて無理やり奪い取るような行為も「強奪」と表現します。
「強奪」の使い方
・現金輸送車が襲撃され三億円が強奪された。
・犯人は社長が手に下げていたアタッシュケースを白昼堂々強奪していった。
・ワクチンを強奪するような真似をすれば国際的な信用を失いかねない。
・高額年俸を武器にスター選手を強奪していくチーム。
「略奪」とは?
「略奪」とは「武力や暴力を背景に徒党を組んで他人の所有物を奪い取る行為」を指す言葉です。
「略奪」を行うのは軍隊や武装集団、山賊など戦闘力を持った集団です。
そのような戦闘集団が「武力や暴力によって他人の金銭や物品などの財産を無理やり奪う行為」を指して「略奪」と表現します。
「略奪」の「略」には「おおよそ、だいたい」と言う意味があります。
奪い取る対象が持つ財産の大部分を奪う行為が「略奪」であり、一般的には個人ではなく町や村など一定の地域に対して大勢で行われる行為を指します。
「略奪」の使い方
・山賊による略奪で村が壊滅した。
・軍隊が略奪を行うとその後の当地に悪い影響が残る。
・国際法では軍隊の略奪行為は禁止されている。
・過去の戦争で略奪された美術品が返還された。
「強奪」と「略奪」の違い
「強奪」と「略奪」の違いは「人数」です。
「強奪」は一般的に個人もしくは少人数で実行される奪い取る行為を指します。
「略奪」は奪い取る側が軍隊や山賊などある程度規模の大きい集団のときに使われる表現です。
奪い取る際に伴う暴力の程度にも違いがあります。
「強奪」は相手のものを力づくで奪う程度を指し、怪我をさせる可能性はあっても相手を殺そうとはしていません。
脅し目的で狂気が使用されることはありますが最初から怪我を負わせたり殺したりしようとは考えず、あくまでも奪い取ることを主目的にしています。
「略奪」の主体となるのは軍隊や山賊など戦闘能力の高い集団です。
背景にする武力や暴力は危険を伴うものであり、銃器など殺傷能力の高い武器の使用もためらいません。
逆らう相手には容赦なく武力が行使され、相手を殺すことも厭わず行われる無慈悲な行為を指して「略奪」と表現します。
まとめ
「強奪」と「略奪」はどちらも身近ではありませんがニュースなどで耳にする機会は多く、意味を正しく知っておきたい言葉です。
この機会にそれぞれの意味を学び今後に役立ててください。