財産や金銭を盗む悪人を指す言葉に「盗賊」と「怪盗」があります。
どちらも小説などではよく見かける表現ですが、同じよう盗みを働く悪人を指すこのふたつの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「盗賊」と「怪盗」の違いを解説します。
「盗賊」とは?
「盗賊」とは「他人の財物を盗むことをなりわいとする集団」という意味の言葉です。
人の物のを盗むという意味では「泥棒」と同じですが「盗賊」は集団としてまとまって盗みや追い剥ぎなどを行う悪人を指す言葉です。
一般に「盗賊」と表現するときは手口が荒っぽく暴力的な方法で財物を奪う悪党を指します。
活動する場所によって呼び名は代わり山で盗みを働く集団は「山賊」、海を縄張りにする集団は「海賊」とよびます。
フィクションなどで使われる造語としては飛行機を襲う「空賊」や宇宙船で海賊行為を行う「宙賊」などの表現もあります。
基本的には複数人が集まった盗み働きを行う集団全体のことを指しますが、そのような集団に属している構成員単体のことも同じく「盗賊」と呼びます。
ファンタジー小説やゲームなどフィクションの世界では悪人ではなく迷宮などを探索する冒険者がつく職業のひとつとして「盗賊」が存在します。
人のものを盗むような悪事は働かず、罠を調べたり斥候を担当したりなど器用さや身軽さを生かして探索に貢献する職業を「盗賊」と呼びます。
「盗賊」の使い方
・盗賊が国境近辺の村を襲撃した。
・警察が威信をかけて盗賊を摘発した。
・アリババと四十人の盗賊を読む。
・中東で悪事を働く現代の盗賊はトラックや機関銃などで重武装しているらしい。
「怪盗」とは?
「怪盗」とは「華麗な手口で財物などを盗み出す泥棒」を意味する言葉です。
主にフィクションで使われる言葉で「人を傷つけず獲物とする財宝を鮮やかに盗むピカレスクヒーロー」のことを 指して「怪盗」と表現します。
神出鬼没で変装や潜入を得意とし、厳重な警戒を物ともせずに出し抜くようなあり得ない手口でさっそうと盗みを働くのが一般的な「怪盗」のイメージです。
盗むにあたって押しこみや追い剥ぎのような暴力を伴う手段は使わず、知恵比べで警備の目をかいくぐり盗み出すその姿は読者の心をひきつけ憧れの的になります。
フィクションの世界では探偵のライバル役として非常に人気が高く「ねずみ小僧」や「アルセーヌ・ルパン」など怪盗を主人公にした作品も数多く見られます。
「怪盗」の使い方
・怪盗から予告状が届く。
・厳重な警備の裏をかいて怪盗が潜入した。
・怪盗は変装して堂々と正面から入っていく。
・怪盗を捕まえたが真っ赤な偽物だった。
「盗賊」と「怪盗」の違い
「盗賊」と「怪盗」の違いは人数と手口です。
「盗賊」は集団で暴力を使った荒々しい手口で盗みを働く集団を指します。
粗野な振る舞いと薄汚い風貌でアジトに隠れ住む野蛮なイメージです。
「怪盗」は暴力を嫌いあくまでもターゲットを盗むことのみにこだわります。
予告状など大胆不敵な手法を好み、ショーのように華麗な手口で目的を成し遂げます。
基本的には個人で活動し、計画に仲間や協力者を利用することはあっても盗みそのものは個人で行います。
まとめ
「盗賊」と「怪盗」はどちらも現実にはあまり見られないほぼ創作上のみの存在です。
同じく盗みを働く存在ですがそのイメージは大きく異なります。
それぞれの言葉によって連想されるイメージを考えて適切に言葉を使い分けてください。