「御供」とは?
「御供」は、「ごくう」と読んでください。
仏前に供える為の品物(主に食べ物)を指して使う言葉で、いわゆる「お供え物」(おそなえもの)のことです。
しかし、家族などが仏前に供える品物に対して使う言葉ではなく、そこに供えて欲しいと用意する人側が使います。
実際には供えられることがなくても、その為に持参したり、送付する時に使う表現です、一般にはそれが入った箱や包装に熨斗(のし)として、この「御供」と付けるものです。
「御仏前」とは?
この「御仏前」は、「ごぶつぜん」と読みます。
「御供」と同じく、仏前に供えるものに対して使う表現ですが、対象が品物ではなく、金銭の場合に用いられます。
こちらも一般に、熨斗袋にそのように記載する言葉で、最初からそのように記載された「御仏前」専用の熨斗袋も販売されています。
ですが、いわゆる「四十九日」を過ぎるまでは「御仏前」ではなく、「御霊前」(ごれいぜん)とするのが普通とされています。
ここが「御供」とは違うところなので注意してください。
「御供」と「御仏前」に違いはある?
上の説明のように、「御供」は品物に対して、「御仏前」(御霊前)は金銭に対して使う言葉です。
それぞれ熨斗書きとして使う表現だという点も一緒で、一度覚えてしまえば間違ることはないでしょう。
また、共に言葉として使う機会はあまりありませんが、「御供は果物がいいと思う」や、「御仏前はいくら包めばいいのだろう」などといった使われ方をよく見聞きします。
「御供」と「御仏前」の使い分け具体例
具体的に、「御供」と「御仏前」(御霊前)の使い分けを見ていきましょう。
使い方については、ここまでの説明の通りです。
「仏前に備えてもらう為に、生前好きだったお酒を送っておいた」
この「お酒」に対しては、「御供」と使いましょう。
箱にそのように熨斗を付けて送付したり、直接持参する場合には、お酒の瓶に直接そう付けることもあります。
お酒はよくこの御供として使われる品なので、酒屋さんであれば、「御供」と書かれた専用の熨斗が用意されていると思います(お店によってはないかも知れません)。
「葬式に参列できなかったので、後から香典だけでも送るつもりだ」
「香典」(こうでん)は、葬儀の際に使う表現です。
熨斗にする際には「御香典」(ごこうでん)としてください。
この例文のように、葬儀の場ではなく、後から送ったり、持参する時には「御仏前」(御霊前)と表現します。
葬儀のすぐ直後などで、四十九日の法要の前であれば、先の説明のように「御霊前」としましょう。
「御香典」とは?
すぐ上の例文で挙げましたが、葬儀(葬式)の際に持参する金銭をそのように表現します。
それ以前の「お通夜」に渡す場合も、この表現の熨斗書きで構いません。
宗教に関係なく使えるのは?
宗教や宗派によって、適した熨斗の表現は複雑です。
例えば、四十九日までは「御霊前」だと説明しましたが、仏教の浄土真宗だけは、それとは関係なく、常に「御仏前」と使うのが正しいとされています(「御供」は問題なく使えます)。
キリスト教では、「霊」や「仏」という言葉自体を使わないので、「御香典」や「御仏前」(御霊前)は、全て「御花料」(おはなりょう)とするのが一般的です。
同宗教では、告別式(葬儀)の際に百合の花をたくさん飾るので、その足しにして欲しいという意味からです。
よって、宗教や宗派を問わず使える表現というものは存在しませんが、宗教や宗派が分からないといった時には、「御香料」(ごこうりょう)としておくと、仏教、キリスト教問わず、おかしいと思われることはないでしょう(仏教の線香と百合の花に共通する表現の為)。
尚、キリスト教では仏壇に相当するものがないので、品物には「御供」とは付けず、そのまま渡してください。