音を記録するために使用するマイクには、指向性というものがあり、この強さによって用途が制限されます。
例えば、長い棒の先についた指向性の強いマイクは、テレビの中継やドラマの撮影などで使われ、話している人の口に向けることによってそれ以外の音をほとんど拾いません。
逆に一般的な指向性の強くないマイクはたくさんの人がいる屋外で全ての音を録音したときに便利です。
さて、ここで使った「指向」という言葉はどういう意味でしょうか。
また、同じ音の「志向」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「志向」と「指向」の違いを分かりやすく説明していきます。
「志向」とは?
「志向」とは、文字通り「志して向かう」という意味です。
「自分が向かいたい方向に意識して向かってゆく」と言い換えることもできます。
つまり、重要なのは「本人が行きたい」という部分で、これがこの言葉の裏に強い意志を感じる理由です。
この言葉は精神的な意味で使われることがほとんどです。
英語では、「intent」です。
「指向」とは?
「指向」とは、文字が表すように「指し示す方向に向かう」という意味です。
一定の方向にまっしぐらに進んでゆくイメージが強い言葉です。
この言葉は、精神的な意味でも物理的な意味でも使用可能です。
英語では、オブジェクト指向が「object oriented」であるように「orient」です。
「志向」と「指向」の違い
「志向」と「指向」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、同じ「しこう」という読み方で、使用される意味も同じであるケースもたくさんあります。
例えば、「上昇志向」とは「今より高いところに登ろうとする意識が高い」という意味ですが、「上昇指向」と表記しても間違いではありません。
つまり、「気持ちが向かう」という意味においてはどちらも使えます。
ただ、ニュアンスとして「強い気持ち」を強調する場合は「志向」を使うのが良いでしょう。
一方、「指向」が物理的な方向性を表す場合には、「志向」は間違っています。
つまり、「マイクの指向性」は「マイクの志向性」と表記することはできません。
「志向」の例文
「志向」の例文は以下のようになります。
・『長くアイドルとして活動してきましたが、元々は女優志向でした』
・『学生時代から音楽をやってみましたが、プロ志向ではありませんでした』
「指向」の例文
「指向」の例文は以下のようになります。
・『Pythonはオブジェクト指向のスクリプト言語です』
・『その船は一番近くの漁港を指向して進みました』
まとめ
この記事では、「志向」と「指向」の違いを、解説してきました。
序文では、マイクの「指向性」について説明しましたが、指向性が強い機器は他にもたくさんあります。
例えば衛星放送などを受信するために使用するパラボラアンテナはどの放送を受信するかによって設置するときの角度や方向が厳密に決められていて、少し動いても受信できなくなります。