この記事では、「蒔く」と「撒く」の違いを分かりやすく説明していきます。
「蒔く」とは?
「蒔く」には3つの意味があります。
1つめは、植物の種子を土などに散らすです。
散らすとは、ばらばらになるように広げることをいいます。
今畑にいます。
手には植物の種子が握られています。
これを土に向かって、ぱらぱらと広げていきます。
この行為が「蒔く」が意味するものです。
2つめの意味は、物事の原因を作るです。
作物の種を土に蒔けば、植物が芽を出して成長をし、やがて収穫できます。
種をまくという原因があり、収穫するという結果があります。
物事の場合も、何かの結果は何かの原因があって引き起こされます。
「蒔く」は比喩的に用いて、物事の原因を作るという意味の言葉です。
3つめの意味は、蒔絵をつくるです。
蒔絵は日本独自の漆工芸の一つで、器物の表面に漆で文様を描き、金属粉や色粉などを巻きつけて付着させつくられます。
「蒔く」の使い方
植物の種子を畑などにバラバラに落とす意味で使用をします。
また「種を蒔く」の形で、物事の原因の意味でも使用されます。
「撒く」とは?
「撒く」には4つの意味があります。
1つめは、広い範囲に細かく振るようにバラバラに落とすです。
掃除をしたり、暑さを抑えたりするために、玄関前に水を散らすことがあります。
これを「玄関に水を撒く」といいます。
バケツでバサッと一度に大量に水をかけることではなく、柄杓や手を使ったりして、細かな水を散らすことを指します。
2つめの意味は、あちこちに配って大勢に行き渡らせるです。
「ビラを撒く」のような使い方をします。
この場合は、ビラを配って大勢に行きわたらせることを指します。
3つめは話しなどを周りに広めるです。
「うわさを撒く」のような使い方をします。
4つめは、ついていきている人などに見つからないようにするです。
「尾行を撒く」のような使い方をします。
この場合は、尾行をしている人の目をくらまし、その人が見失うように故意に行うことを指します。
「撒く」の使い方
いくつもの意味があり、さまざまな事柄に使用されています。
日常的には、広い範囲に細かく振るように落とす、あちこちに配るという意味で使われることが多いです。
「蒔く」と「撒く」の違い
どちらの言葉も「まく」と読みは同じで、散らすという意味合いが似ていますが、同じことではありません。
「蒔く」は種子を土などに散らすことです。
「撒く」は細かく振るように散らすことです。
土俵に塩を散らす、玄関先に水を散らすなどのことをいいます。
「蒔く」の例文
・『ほうれん草の種を蒔く』
・『日和を選んで種を蒔く』
・『4月に種を蒔く予定です』
・『若い人が育つための種を蒔く』
「撒く」の例文
・『悪いものを払うために玄関先に塩をまく』
・『鶏たちに餌を撒く』
・『海に撒く』
・『相手を撒く』
まとめ
「まく」と読みは同じですが、2つの言葉の意味は異なります。