「矩を踰える」とは?意味や使い方、例文など分かりやすく解釈

「矩を踰える」とは?意味と使い方

この記事では、「矩を踰える」の意味を分かりやすく説明していきます。

「矩を踰える」とは?意味

「矩を踰える」の読みは、少し難しいですが「のりをこえる」です。

「矩」は、同じ読みの「法」「則」と同義で「規則やおきて」を意味し、また「踰える」「超える」という意味です。

従って「矩を踰える」の慣用句は、「道徳や規律から外れること」を意味するのです。


「矩を踰える」の概要

この慣用句の意味は、前項で記載した通りですが、誰かの行動に対して「越権行為である」「分をわきまえていない」「道理に合わない」などと批判する場合に、しばしば使われる慣用句です。

「矩を踰える」の慣用句は、論語を由来とする言葉です。

論語に孔子が自分の生涯から悟った言葉として「七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず」と言う記述があります。

この言葉は、現代文に訳せば「70歳ともなれば、自分の心の欲するままに行動しても、道徳の規範をはずれることがない」と言う意味になります。

この文章における「矩を踰えず」の部分が取り出され、これを否定形から肯定形に変えられたのが、「矩を踰える」なのです。

ちなみに、論語の「七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず」を由来として、70歳の別名を「従心(じゅうしん)」と呼ぶようになったのです。

蛇足ですが、15歳を志学(しがく)、30歳を而立(じりつ)、40歳を不惑(ふわく)、50歳を知命(ちめい)、60歳を耳順(じじゅん)と呼ぶのも、この論語に同じ下りを由来としています。

この中でも不惑は40歳の別名として、多くの人が知っている言葉として定着しています。


「矩を踰える」の言葉の使い方や使われ方

「矩を踰える」の言葉は、以下の例文のように使われます。

・『コロナ対策では、政府が専門家会議の意見を聞かないという批判がある一方で、専門家会議の委員長の発言に対して、矩を踰える発言だとの批判のあった。』

・『社長に対して意見具申する事は問題ないが、彼の発言は社員として矩を踰えるものだと言わざるを得ず、社長が煙たがって地方に左遷させた気持ちも理解できる。』

・『彼は社内の上司が参加する会議でも、色々と積極的に発言している。そのこと自身は否定されるものではないが、その内容が過激すぎ、矩を踰えるケースが多い。そのために、彼は暴言王だと陰口を叩かれるようになった。』

「矩を踰える」の類語や言い換え

「矩を踰える」の言い換えとしては、意味を端的に表現する「越権行為である」「分をわきまえていない」「道理に合わない」などとするのが良いでしょう。

まとめ

「矩を踰える」の読みは、少し難しいですが「のりをこえる」で、「道徳や規律から外れること」を意味する慣用句です。

この慣用句は、「越権行為である」「分をわきまえていない」「道理に合わない」等のニュアンスで、非難や批判する場合にしばしば使われます。

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