「悪代官」
この「悪代官」とは、いわゆる比喩表現で使われる言葉です。
本来は、時代劇によく登場する悪い役人のことですが、そこから転じて、やろうと思えばそれなりの悪いことができてしまう立場にある人が、それを行ったり、企てているような時に使う言葉です。
また、ちょっとした悪いことをしたり、考えている人に対して、冗談めかしてこの言葉で呼ぶこともあります。
「悪代官」の意味
悪代官と言われる人は、自分が得になる悪いことする為に自分の立場を利用します。
語源となっている昔の悪い役人がそうだったように、例えば、自分の一言で業者の選定ができるような場合に、多く”袖の下”を多く持ってきた方にするといったことが、この悪代官と呼ばれてしまう理由です。
第一セクター(官公庁)や第三セクター(官民の共同出資)の団体で、このような賄賂に該当する行為があると、もちろん処罰の対象になりますが、第二セクター(純粋な民間企業)同士であれば、特に何の定めがある為でもないので、現代の悪代官の多くはそこに存在していると言っていいでしょう。
「悪代官」の英語と解釈
悪代官を英語で表現する場合、“bad magistrate”とするのが一番適当でしょう。
“magistrate”は「行政長官」や「治安裁判官」という意味ですが、日本のこの「悪代官」を歌った英語の歌詞でこのように使われていたことがあるので、英語圏で充分に通じる表現なのは間違いないでしょう。
“badp”を“evil”とすると、更に悪質性が高い表現になり、「とんでもない悪代官」と言いたいような場合には、そちらの方が合っています。
「悪代官」の言葉の使い方
悪代官は、そのように感じた人に対して、または、自分が実はそうではないかと思ってしまった時などに使う言葉です。
(相手より上の)立場から、自分が得するような悪事を働くのがこの悪代官なのでいい意味は全くない言葉です。
「悪代官」を使った例文・解釈
悪代官を使った例文です。
先に挙げた、冗談として使っている例も含めています。
そのような使い方であれば、面白くこの言葉を使えますが、基本的には使う場面がないに越したことはありません。
「悪代官」の例文1
「あの部長は、業者から散々金品を受っていると評判の悪代官らしい」
第二セクター同士のやり取りで、多少の賄賂に当たる行為があっても、それそのものが処罰の対象になる訳ではなく、このようなことはどこでも大なり小なり行われているものです。
ただし、いき過ぎがあると、会社に対する背任行為(その会社が賄賂による選定をしているなどという悪評が立つ=会社の信用の低下に繋がった)となってしまうこともあるので、それができる立場にあったとしても、適度に留めておくことが大切です。
「悪代官」の例文2
「あいつは自分が有利な立場になると、すぐに悪代官の顔を覗かせるから困ったものだ」
自分が立場的に有利だと思うと、すぐ悪いことを考える人も居るものです。
このような人は、”根っからの悪代官気質”などと揶揄されることがあり、人間として決して褒められたものではありません。
「悪代官」の例文3
「時代劇ではすぐに出てくるが、実際にはそれほど悪代官など居なかったらしい」
これは、歴史学者の間でも通説として言われていることです。
時代劇はあくまでフィクション(実際の歴史を元にしたものでも、各種の脚色があります)なので、大袈裟に表現されているものがほとんどです。
この悪代官も、実際にはほとんど居なかったと言われていますが、そのような人間がやり込められる様子が痛快なことから、時代劇の多くにおいて登場しています。
「悪代官」の例文4
「悪代官じゃあるまいし、かわいい子ばっかりじゃなくて、ちゃんと実力で選べよ」
何かのメンバーの選定で、それを決められる立場の人に対して冗談めかして使っている例になります。
本来の選考基準ではなく、自分が気に入っている人だけを選ぶという行為も、充分な悪代官ぶりです。